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ジャングルはいつもハレのちグゥ リリカル 6課編 クロス元:ジャングルはいつもハレのちグゥ 第一話 第二話 第三話 第四話 TOPページへ このページの先頭へ
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第零話『永劫の開演』 其処は様々な色彩が混濁した、異形の闇だった。 昏く淀み、白く醜く、ありとあらゆる色彩表現から逸脱された怪異に侵されし闇だ。 その邪悪に彩られた世界の中心、ヒトのと呼ばれる生命を模された影が、舞台の中心で踊るように両手を掲げる。 ―――哂(わら)いながら。 『ハハっ……予想だにしなかったよ、今回の結末は。やっぱり九朗君は何処までも僕の予想を裏切ってくれるねぇ。 それもまた一つの物語、陳腐で愛すべき、最も忌むべき刹那の永劫!』 それは、余りに邪悪過ぎた汚濁の微笑みだ。 あらゆる感情が唸りをあげて混ざり合い、感情という想念を越えた怨嗟の叫びだ。 度重極まったその憎悪は―――然り、愛と似ている。 純粋で真っ直ぐ過ぎたその邪悪は、相反する愛情となんら変わりばえが無いと言えた。 影は―――『女』は、哂い続ける。 目の前の混濁の海に漂流する、一つの『黒い人影』を見据えながら、嘲笑を零した。 『だが、そんな刹那の永劫もこう何回と続けば飽きちゃうモノだよね。―――ほんの少しくらい、“お遊び”をしたって誰も文句は言わないさ』 そうだ。 あの無限の檻に囚われた『二人の王』の御伽噺。 よもやあのような結末になろうとは、如何なこの『女』としても計り知れぬコトじゃなかった。 だからこそ。あれくらいの枝の数では、足りないのだ。ならば増やそう。 枝の数を増やし、彼等をそれに絡めさせ、さながら人形劇のように操り続けようと。 用意をするのは簡単だ。 だが物語(セカイ)の骨子(プロット)を推敲するには少しばかり時間が必要だ。 だが、無限輪廻においてかの二人の王を育て続けた『女』だ。これくらいの時間、刹那すらほど遠い。 が――、それでは少々無粋だ。いくらあの“女”とて、遊びを欠いては飽きてしまう。 せめて、そうだ。 『もっと別の御伽噺』を作って観るのも悪くは無い。せめてもの『暇潰し』だ。 道化は道化らしく、お遊戯は丹念に清々を篭めて、子供のような邪悪を孕ませたつまらない御伽噺を作っていく。 ―――それが彼女、『無■■神』である『■■■■ラ■■■ッ■』が思いついた戯れ事。 ―――『女』は溺死体のように闇の海をたゆたう『男』をまた見つめ、愉快げに手を差し伸べた。 黒い装甲は所々剥がれ落ち、元々あった筈の顔を覆う仮面は先の戦いで破壊され、少年のようなあどけない寝顔をさらしている青年。 かつて実の姉に殺され、恨み、妬み、辛み、憎悪の限りを以って殺し愛った黒き天使。五つ目の黒き堕胎。 『だけど“それが良い”。ずっと昔から壊れている人形が、どんな風に踊ってくれるのか。 それを見届けるのもまた一興。泡沫に消える楽しい一幕さ』 邪笑。 『女』は本当に楽しそうに、身を捩(よじ)りながら、悶えるように、喘ぐように謳う。 ……狂騒劇の始まりを! 狂った御伽噺を! 嗚呼、愚痴たる人間を贄として、儚くも強壮な物語を! そうして、『女』は告げた。 狂った笑顔で。無の貌(かお)で。灼ける三つの眸に孕ませた、苛烈に熾(おこ)る憎悪と愛を以って。 『―――では、始めよう! 君は僕に愛される資格を手に入れられるのか! それともただの陳腐で唾棄すべき存在のままでいるのか! 嗚呼、君が踊る演目は一体どんなモノなのだろう。ワルプルギスの再来か、グランギニョールの狂喜か!』 歓喜に似た声は感極まって、この混沌たる闇の世界すら歪ませる程の邪悪が詰まった笑い声を発する。 一頻り喋り終わり、呼吸を整える。 そして、期待に心を膨らませながら、憧れるように、恋焦がれるような静かな声でこたえた。 『それとも―――そう。この邪悪に冒された狂騒劇を、荒唐無稽に無理やり終わらせてくれる ―――“デウス・エクス・マキナ”へと成り果てるのかな?』 その言葉を最後に、『女』は己が欲にのまれながら狂喜して、暗き混濁の海にたゆたう黒い影……『男』の周囲を円形状に歪めていく。 カチリと、鍵の音が響いた。 この世界から、異なる世界へと通じさせ/転移させ/開闢させて。 『女』は尚も哂う。 言わせてみれば、総ては決まったコトなのだ。この遊戯も。この物語も。 『そう――――総ては、ナ■アル■ト■■■■の意のままに!!』 * 主役は憎悪に焦がれた黒い影。 深く淀んだ恩讐と殺意は、時として愛によく似ていた、最後まで愚かであり悲哀であった男。 黒き天使の名を冠する復讐者。 ヒロインは未だ壇上に昇らず。影は独り、絶望に酔いながら踊り狂う。 ……されども。 『――否(いや)! まだだ、まだ間に合う!!』 一つの、脆弱な光が必死に叫ぶ。まだ絶望するには速いと。 否、絶望などさせるものかと。 だがその光も、この壇上という囲いの外に在る。舞台に上がるには未だ至らず。 未完成の箱庭。 不実の輪。 蛇の輪舞曲(ウロボロス・ロンド)。 それでは、始めるとしよう。 白き王の紡いだ荒唐無稽の御伽噺とはまったく別で、それでも、その愚かな生に縋って足掻き続ける、弱く、醜く、そして愛すべき物語を。 『機人咆哮リリカルサンダルフォン』、開幕。 目次へ 次へ
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0076年 4月 『レリック回収事件』が幕を閉じ、何時もより穏やか風が吹き始め。その事件において力を尽くした時空管理局の部隊・機動六課は役目を終え。 春風が吹くなかで解散することになった……。 皆を召集しての挨拶も済ませ。 勝利の鍵達が別れと新な門出を祝うために手加減なしの最後の模擬戦を開く。 なのは「全力全開!行くよ!」 スバル「はい!!行こう皆!」 が、そこに新な嵐が迫っていることを誰も気付きはしない……。 シャマル「何かしらこの力……」 今まさに模擬戦が始まろうとしていた何かの変化にシャマルは怪訝な表情を浮かべて呟く。 ヴィータ「何だよ、今からって時に……。」 楽しみを邪魔され、ヴィータは不満そうに声をかける。 フェイト「っ……空が……」 一同「!?」 フェイトの言葉に皆は空を見上げる、すると先程まで晴天であった天候は突如として雲り初めていた……。 それもビデオの映像を早送りするかのように。 なのはは、それがただの天候の変化でないことを悟っていた。 ……一体何が起きているの? なのは「……っ!?」 曇り空を見上げていたなのは、それに皆は。更に訪れた変化に目を見開く。 何……あれ? それは雲りだした空に大きな穴がぽっかりとあき、辺りの大気を巻き込むように渦を成し初めていた。 そして……。 その渦から紫色の光が注がれ、さらに地震に似た大きな揺れが起きる。 はやて「何や……何が起こって…………皆、とにかく飛ん----。」 リイン「はわ、皆さん早く!」 シグナム「くっ!?」 地面がバウンドしているような感覚にはやては皆に空を飛ぶように促すが足が地面を離れる刹那、光が身体を呑みこんでしまい。皆の意識はそこで途切れてしまう。 そのまま光はミッドチルダ全土を呑み込んでいく……。 ※海上隔離施設 ギンガ「何……この光?」 チンク「引き寄せられている……?」 ※聖王教会 クロノ「……次元震に似ている。これは貴女の能力にありましたか?」 カリム「いえ、こんなことが起きるなんて……。」 そして、こことは違う場所で。彼女達の姿を水晶球に映し出して眺めている男がいた。 ???「ククク、強者よ。集うが良い。」 男の名は魔王・遠呂智。 太古、遠呂智は、境界無く世界に乱を招いた罪により、永劫の生、果てることのない罰を科された。 仙界に幽閉され業苦を与えられ、ゆるゆると悠久を生かされる。 周りの者から永遠に忌み嫌われながら……。 それを見ていた妖魔・妲己は遠呂智を手引きし、仙界から脱走させた。 そして。遠呂智は三国志、戦国史、ミッドチルダ。 時代、国、境界すらも超越した異世界を創り、そこに猛者を集結させた。 遠呂智の目的はただ一つ……ただ一つの目的のため。 すべてを戦いへと呑みこんでいった。 遠呂智『強者達よ、我に挑め。』 リリカル無双OROCHI-導入- ※宛城 なのは「ここは一体……」 光が晴れ、視界が回復し。気付けば私は見知らぬ場所に居た。 辺りにはテントのような寝所や、木で造られた食糧庫が列び。それら全てを囲うように石造りの壁がある……。 それはまるで城壁のようで……。 ここはミッドチルダじゃないことは解る。やっぱりあの光が原因だね……。 ??「ようやく来たんだ。待ちくたびれちゃったなー。」 っ! 背後からの声に振り向くと、そこには恐ろしいくらいの白い肌の女の人がいた。 辺りに人の姿は無く、この人が声をかけたんだと理解できた。 なのは「どうゆうことですか?」 今の言葉は何かを知っているような……そんな言葉。だから、私はレイジングハートを構えて彼に向ける。 なのは「私は高町なのは。お話、聞かせてほしいの。」 妲己「私は妲己。よろしくねー。」 可笑しそうに妲己さんは名乗り返し、瞬時に私の目の前に現れて大きな玉を私に放つ。 なのは「っ!?」 咄嗟にレイジングハートで払い、当たらずにすんだけど。 速い……。あまりの速さに私はそんな印象しか浮かばなかった……。 妲己「ホラホラ、どうしちゃっの~?そんなんじゃ、貴女死んじゃうってば~あははは。」 なのは「くっ!」 彼女から間を置くために離れ、私は空に飛び。アクセルシューターを出来るだけの数で放つ。 しかし、踊るかのように移動する彼女に魔力は一つも当たらない。 一つ、また一つ。 上、横、下。あらゆる方向から狙う攻撃を回避しながら彼女はアクセルシューターを破壊していく。 彼女は強い。でも、そのまま壊させはしない! 避けきる彼女の動きを目で追い掛け、私はレイジングハートを再び構える。 全力全開じゃいかないけど……私は捕まるわけにいかない! なのは「ディバイーン……」 レイジングハートの先に魔力を集束し、私は出来る限りの魔力を彼女に放つ……。 なのは「バスター!!」 妲己「っ!気を取られ過ぎちゃった!?」 レイジングハートから放たれた私の魔力は彼女に襲いかかり、妲己さんは回避しようとしたけど……遅かった。 ディバイン・バスターの光に包まれ。彼女の存在が消えたことを私は確認し、彼女がいた場所に近づいてレイジングハートを後ろに向ける。 妲己「非殺傷設定とかつまんないなぁ~。でも、なかなかやるじゃない。なのはちゃん。」 なのは「私は時空管理局員だから!あグッ!?」 彼女は玉も動かしていないのに。腹部に重いなにかがぶつかる。 な、何……!? なのは「かはっ、……け、結晶…」 足元から伸びるように飛び出した大きな紫の結晶体が私のお腹を殴ったんだ……。 妲己「はぁーい。で、これはオ・マ・ケよ♪」 楽しそうにそう告げ、彼女は二つの玉を私に向けている。 く、回避しないと……。 でも。頭でそう考えても、身体が思うように動かない。 先程の結晶体の一撃が身体に大きなダメージを負わせてしまった。 妲己「ああ、そうそう。今の攻撃で貴女の魔力をすこーし貰ったから♪」 なのは「そんな!?」 妲己「貴女達の世界じゃ、魔導師って魔力取られたら何も出来ないんだっけ?不便だねー♪」 なのは「魔力が無くても……戦え「無理無理」 妲己「貴女の今の身体じゃあ無理よ♪」 見ただけでそこまで知っている彼女の言葉に私は返せなくなる。 確かに、今の私は傷がある。でも、それでも……。 なのは「私は「貴女、飽きちゃったからもう寝ててよ♪」 彼女にそう遮られたのが耳に入った時。 あの時、私達を包み込んだような紫の光が魔力砲撃のように玉から放たれ。 直撃した。 なのは「きゃあぁぁぁっ!?」 身体を焼くような痛み。魔力砲撃とは違った衝撃が身体を、意識を襲い。音を立てて私は地面に倒れ込む。 妖しく曇った空を眺めるような形で……。それはここが異世界だと思わせて……哀しかった。 なのは「ぐっ……」 妲己「あららしぶと~い。」 痛みを押し、なんとか逃げようと立ち上がる。けど、あの光の攻撃を受けたからか力が入らない……。 なのは「……この世界は……貴女たちが?」 妲己「ここは遠呂智様が創りあげた異世界。貴女達のミッドチルダの他にもいっぱい別世界からの人達が居るわ♪」 なのは「私達の他に……?」 妲己「そう。三国志と戦国、ミッドチルダが合わさった世界になったの♪」 なのは「一体なんのために……っ……う。」 妲己「貴女は知らなくて良いの♪な・の・はちゃん♪」 痛々しそうに言ってるのがかわいくて。つい、倒れている彼女のお腹を踏み付けちゃった♪ 妲己「なのはちゃ~ん。起きてる~?」 呼び掛けてもなのはちゃんから言葉は返ってこなかった。 あらら~、気を失っちゃったんだ~♪ 妲己「こっちはまずまずね。他は……と。」 ※ミッドチルダ東部 森林地帯 スカリエッティのラボ跡付近 フェイト「やあぁぁぁっ!!」 ??「ふんっ!!」 宛城にて、なのはが気を失った頃。 この森林において一人の魔導師と一人の武将がデバイスと戟を交わらせている。 エリオ「あの人、強い……。」 少し離れた場所でその闘いを見ているエリオ・モンディアルはそう呟く。 遡ること1時間前……。 あの光に包まれ。晴れ渡った時。 二人はこの場所に居た。そこに青白い肌の人の軍団が二人に襲い掛かり、それをフェイトが一蹴し。 終わったかに見えた……だが、フェイトの闘いぶりを見ていた赤い巨馬に跨がった一人の武将が彼女に勝負を挑んできたのだ。 呂布「俺は呂布、字は奉先。お前の名を教えろ。」 フェイト「フェイト、テスタロッサ・ハラオウンです。何故、貴方は私に闘いを挑むんですか……?」 呂布「フン……上なる獲物よ。俺を楽しませろ!!」 フェイトも、彼がただ者ではないと悟り。バリアントジャケットをソニックフォームへと変え。 プラズマザンバーを振るい。彼の戟によって弾かれて突き放される。 それを利用してフェイトは何度も何度も呂布に攻撃する。 それが何度も繰り返され、今に至っていた。 フェイト「くっ!!」 再び、突き放される形でフェイトは身体を吹き飛ばされる。 本当に強い……。 奉先から発せられる力は半端な魔力砲撃よりも強力だ……少しでも気をやればあの戟で貫かれてしまう。 なら!! フェイト「この間合いを利用すれば!!」 なんとか、態勢を立て直し。ソニックムーヴを使った速度を利用して馬上の彼の背中に回転斬りを放つ。 だが……。 ザンバーは空を切る。 呂布「俺をのけ反らせるとは……面白い!!」 呂布は身体を素早くのけ反らし、水平斬りを回避して愛用の方天画戟をフェイトに振るう。 エリオ「な……今のを避けた。」 確実に直撃すると思っていたのに……。 今までフェイトの闘いぶりを見てきただけにエリオの衝撃は大きいものだった。 フェイト「っ!?」 呂布の攻撃は鋭く、回避する先に方天画戟が襲い掛かってくる。 避け切れない!!なら障壁で!! しかし、それは間違っていた。 呂布「おおー!!」 ガシャァン!! 呂布の一撃を受け、障壁は音を立てて破壊されてしまう。 フェイト「そんな!」 障壁を破壊するなんて……。 でもこれほど強力な一撃だから動きに隙が出来る。そこを今狙うしかない! 再び、私はソニックムーヴを使って奉先の頭上に飛びザンバーを構え。振るう。 でも、後で私はどこか彼を侮っていたんだと思うようになった。 奉先は私に追い付き。バリアントジャケットの襟元を開いている左手で掴んでいた。 呂布「寝ろ!!」 そう叫び、奉先は掴んだ状態で私は地面へとたたき付けられた。 フェイト「っぁあ!!」 地面が砕け散り、私の身体をいいようのない衝撃が襲う。 それ以外、わからない……。 エリオ「フェイトさん!!」 今の闘いを見るかぎりあの人にたたき付けられて大丈夫なはずはない。 ただ、それだけしか考えられなくて……。僕はフェイトさんの元に駆け寄る。 エリオ「フェイトさん!」 バリアントジャケットはもはやボロボロになり、フェイトさんは瞼を閉じて呼吸しているだけ。 気を失っているだけだった。 でもそれは僕達の終わりを意味していた。僕も闘える。 しかし、あの人に勝てることなど出来ない……。 兵士「ヘッヘッヘーようやく殺せるぜ!」 青白い肌の兵士達が口々にそう言いながら僕達に歩み寄り、刀をぎらつかせている。 兵士「死ねー!!」 シャリオ「っ……」 刀や槍を振り上げられ。 死んでもかまわない。フェイトさんを護る!そう決意した。 兵士「ギャアァ!!」 兵士「ウガァァッ!!」 え……。 僕はフェイトさんを倒したあの呂布が、戟で兵士達を貫くのを目撃する。 呂布「獲物に下らん真似をするなら……殺す!!」 兵士「ひ、ヒイぃ!」 見る者すべてを射殺してしまうような威圧に兵士だけじゃなく、僕も彼に恐怖を感じた……動けば殺されるとさえ思えた。 エリオ「な、何で……」 呂布「フン、殺すには惜しい獲物だからだ。フェイト・テスタロッサ・ハラオウン……俺の袖鎧を砕くとはな。」 なんとも嬉しそうに答える彼になんとなく誰かさんに似ているなと思う。 誰ナムさんだったっけ……? エリオ「あの、僕たちはこれから「お前達はこれから魏に連れて行くそうだ。檻車に入っていろ……」 エリオ「くっ!」 そんなわけに行かない!!そう思って、僕はストラーダを起動しようとしたけど。 あの目が、僕を捕らえる……。 呂布「小僧、良い目をしているがお前では俺を倒せん。」 エリオ「……そんなこと!わからないですよ!」 呂布「下らん」 エリオ「下らなくなんて「相手にならんからだ。」 ……く!! 遮るような言葉にエリオは動きが止まる。 呂布「高順、連れていけ。」 高順「はっ!」 そして呂布の言葉通り、高順さんは用意していた檻車を僕たちの前に持ち出す。 フェイトさんを抱えて逃げ出すなら今しかない……でも。この人からは逃げられない。 どうすれば良いんだ? 呂布「俺には関係ないが。来たるべきときがずれくる。そのときは貴様の相手をしてやろう……。」 来たるべきとき? 呂布の言葉は、その時の僕にはそれが「その女の為に今は従え。」そういうふうに思えた。 フェイトさんを助けたい。でも、この人から逃げたくなかった。 複雑な気持ちが僕の心にあった。 恐らく、いや。今まで見てきた人達よりもこの呂布という人は強い。 彼の赤い馬が輝かしく見える。 エリオ「わかりました。フェイトさんは僕が運びすから……。」 また、フェイトさんを抱き抱えることになるなんて……。 ゆっくりと檻車に入り、扉が閉まろうとするとき。 僕は振り返る。 エリオ「呂布、僕は貴方を越えたい。」 呂布「フン、期待せずに待ってやる。」 そして、それらすべては妲己の手の平のうえに浮かべた鏡で見られてた。 妲己「エリオくんかわいい♪呂布さんやるじゃなぁい……これで二人のエースはこっちのものね。こっちは……」 鏡が映す人を切り替える。そこに映しだされていたのは……。 八神はやてちゃん。かぁ……。ま、手札はこっちにあるし小次郎さんに孫策さんを手伝わせよかな。 妲己「フフ♪」 あーダメダメ。笑っちゃいそう、この小さい女の子の事どれだけ大事なのかなぁー? 再び、映すものを切り替えて確認し。妲己はなのはと共に宛城から姿を消す。 こうして、二人のエースは遠呂智軍に囚われるの身となる。 遠呂智にとってそれはミッドチルダから選ばれた者達にとって思ってもみない試練の闘いの準備として……。 続く 目次へ 次へ
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【フェイト・T・ハラオウン(StS)@仮面ライダーカブト】4 No. タイトル 作者 登場人物 時間 025 君想フ声 ◆9L.gxDzakI フェイト・T・ハラオウン(StS) 1日目深夜 038 夢・オ・チでリセット! ◆RsQVcxRr96 フェイト・T・ハラオウン(StS)、柊つかさ、遊城十代 1日目黎明 058 やわらかな温もりに瞳閉じ ◆C1.qFoQXNw フェイト・T・ハラオウン(StS)、柊つかさ 1日目早朝 076 絶望の罪人~夜天の主~絶望の罪人~フタリボッチノセカイ~絶望の罪人~双翼~絶望の罪人~大災害、そして終わらない宴~ ◆jiPkKgmerY アーカード、セフィロス、八神はやて(A s)、アレクサンド・アンデルセン、ヴァッシュ・ザ・スタンピード、アンジール・ヒューレー、キース・レッド、フェイト・T・ハラオウン(StS) 1日目朝 【矢車想@仮面ライダーカブト】2 No. タイトル 作者 登場人物 時間 008 駆け抜ける不協和音 ◆gFOqjEuBs6 浅倉威、矢車想、ヴィヴィオ、エネル 1日目深夜 046 残酷な神々のテーゼ(前編)残酷な神々のテーゼ(後編) ◆RsQVcxRr96 相川始、矢車想、エネル、インテグラル・ファルブルケ・ウィンゲーツ・ヘルシング、ギンガ・ナカジマ、キャロ・ル・ルシエ 1日目早朝 【天道総司@魔法少女リリカルなのは マスカレード】21 No. タイトル 作者 登場人物 時間 028 誰がために彼の者は行く ◆RsQVcxRr96 天道総司、相川始、シャーリー・フェネット 1日目深夜 036 シャーリーと爆砕牙 ◆Qpd0JbP8YI 天道総司、シャーリー・フェネット 1日目黎明 052 勇気のアイテム(前編)勇気のアイテム(後編) ◆gFOqjEuBs6 天道総司、シャーリー・フェネット、浅倉威、ヴィヴィオ、キャロ・ル・ルシエ 1日目早朝 066 パンドラの箱は王の手に ◆jiPkKgmerY 八神はやて(StS)、キング、ヒビノ・ミライ、ヴィータ、天道総司、キャロ・ル・ルシエ 1日目早朝 082 Deathscythe ◆9L.gxDzakI キング、天道総司、キャロ・ル・ルシエ 1日目朝 088 仮面ライダーらしく ◆Qpd0JbP8YI キング、天道総司、浅倉威、ヴィヴィオ、シャーリー・フェネット 1日目朝 104 暇をもてあました神々の遊び ◆9L.gxDzakI エネル、天道総司、キング 1日目午前 117 Alive a life ~タイムリミット(前編)Alive a life ~タイムリミット(後編)Alive a life ~死闘(前編)Alive a life ~死闘(後編)Alive a life ~ゲームは止まらない ◆gFOqjEuBs6 高町なのは(StS)、シェルビー・M・ペンウッド、C.C.、天道総司、キング、ゼスト・グランガイツ、万丈目準、ヒビノ・ミライ 1日目昼 143 キングの狂宴/狙われた天道(前編)キングの狂宴/狙われた天道(後編) ◆HlLdWe.oBM 高町なのは(StS)、シェルビー・M・ペンウッド、C.C.、天道総司、キング、ゼスト・グランガイツ 1日目日中 153 13人の超新星(1)13人の超新星(2)13人の超新星(3)13人の超新星(4)13人の超新星(5)13人の超新星(6)13人の超新星(7) ◆WslPJpzlnU 柊かがみ、新庄・運切、エネル、キース・レッド、アレックス、相川始、金居、ヴィータ、キング、ヴィヴィオ、高町なのは(StS)、天道総司、アーカード、柊つかさ、万丈目準、浅倉威、プレシア・テスタロッサ、リニス、『フェイト』 1日目夕方 157 D.C. ~ダ・カーポ~ SURVIVED.C. ~ダ・カーポ~ 戦いは終わるD.C. ~ダ・カーポ~ 予兆 ◆HlLdWe.oBM 浅倉威、柊かがみ、相川始、キング、金居、ヴィータ、キース・レッド、アレックス、L、高町なのは(StS)、天道総司、ヴィヴィオ、エネル、新庄・運切、アーカード、プレシア・テスタロッサ、リニス、『フェイト』 1日目夕方 168 Aの残光/強襲ソルジャーAの残光/夢と誇りをとりもどせ ◆gFOqjEuBs6 アンジール・ヒューレー、クアットロ、高町なのは(StS)、天道総司、ヒビノ・ミライ 1日目夜 173 絶望の暗雲 ◆HlLdWe.oBM アンジール・ヒューレー、クアットロ、高町なのは(StS)、天道総司、ヒビノ・ミライ、キング 1日目夜中 178 Mの姿/鏡Mの姿/マイナスからのリスタート ◆gFOqjEuBs6 アンジール・ヒューレー、キング、高町なのは(StS)、天道総司、柊かがみ 1日目真夜中 183 救済N/EGO~eyes glazing over救済N/Destiny s Play ◆7pf62HiyTE 高町なのは(StS)、柊かがみ、天道総司 2日目深夜 184 罪罪(状態票) ◆LuuKRM2PEg 天道総司、ヴァッシュ・ザ・スタンピード、ユーノ・スクライア、高町なのは(StS)、八神はやて(StS)、スバル・ナカジマ、ヴィヴィオ、泉こなた、柊かがみ 2日目深夜 186 Pain to Pain(前編)Pain to Pain(後編) ◆HlLdWe.oBM 高町なのは(StS)、八神はやて(StS)、ユーノ・スクライア、天道総司、ヴァッシュ・ザ・スタンピード、柊かがみ、スバル・ナカジマ、ヴィヴィオ、泉こなた、アンジール・ヒューレー、キング、金居 2日目黎明 187 解ける謎!!(前編)解ける謎!!(後編) ◆LuuKRM2PEg 天道総司、キング、金居、アンジール・ヒューレー 2日目黎明 194 Masquerade ◆gFOqjEuBs6 天道総司、アンジール・ヒューレー、キング、金居 2日目早朝 195 Revolution ◆LuuKRM2PEg 天道総司、ユーノ・スクライア、高町なのは(StS)、スバル・ナカジマ、ヴィヴィオ 2日目早朝 197 Round ZERO~AMBITION SECRET(前編)Round ZERO~AMBITION SECRET(後編) ◆HlLdWe.oBM 高町なのは(StS)、ユーノ・スクライア、ヴィヴィオ、スバル・ナカジマ、天道総司、キング、金居、ウーノ、ドゥーエ、オットー 2日目早朝 【相川始@魔法少女リリカルなのは マスカレード】18 No. タイトル 作者 登場人物 時間 028 誰がために彼の者は行く ◆RsQVcxRr96 天道総司、相川始、シャーリー・フェネット 1日目深夜 031 最初からクライマックスなのか!? ◆WslPJpzlnU 相川始 1日目深夜 046 残酷な神々のテーゼ(前編)残酷な神々のテーゼ(後編) ◆RsQVcxRr96 相川始、矢車想、エネル、インテグラル・ファルブルケ・ウィンゲーツ・ヘルシング、ギンガ・ナカジマ、キャロ・ル・ルシエ 1日目早朝 071 タイムラグは30分(前編)タイムラグは30分(後編) ◆gFOqjEuBs6 エネル、相川始 1日目朝 073 誇りの剣 ◆9L.gxDzakI インテグラル・ファルブルケ・ウィンゲーツ・ヘルシング、ギンガ・ナカジマ、相川始 1日目朝 083 Don t lose yourself(前編)Don t lose yourself(後編) ◆gFOqjEuBs6 相川始、ギンガ・ナカジマ、インテグラル・ファルブルケ・ウィンゲーツ・ヘルシング、金居、武蔵坊弁慶 1日目午前 115 Round ZERO ~ JOKER DISTRESSED(前編)Round ZERO ~ JOKER DISTRESSED(後編) ◆HlLdWe.oBM 相川始、金居、武蔵坊弁慶、ギンガ・ナカジマ、インテグラル・ファルブルケ・ウィンゲーツ・ヘルシング、アーカード、アンジール・ヒューレー 1日目昼 120 The people with no name ◆7pf62HiyTE 相川始 1日目昼 124 狼煙 ◆9L.gxDzakI 相川始、浅倉威 1日目日中 135 [5RIDERS]希望 ◆7pf62HiyTE 浅倉威、柊かがみ、相川始、スバル・ナカジマ 1日目午後 147 ライダー大戦2010(前編)ライダー大戦2010(中編)ライダー大戦2010(後編) ◆gFOqjEuBs6 相川始、浅倉威、柊かがみ 1日目午後 153 13人の超新星(1)13人の超新星(2)13人の超新星(3)13人の超新星(4)13人の超新星(5)13人の超新星(6)13人の超新星(7) ◆WslPJpzlnU 柊かがみ、新庄・運切、エネル、キース・レッド、アレックス、相川始、金居、ヴィータ、キング、ヴィヴィオ、高町なのは(StS)、天道総司、アーカード、柊つかさ、万丈目準、浅倉威、プレシア・テスタロッサ、リニス、『フェイト』 1日目夕方 157 D.C. ~ダ・カーポ~ SURVIVED.C. ~ダ・カーポ~ 戦いは終わるD.C. ~ダ・カーポ~ 予兆 ◆HlLdWe.oBM 浅倉威、柊かがみ、相川始、キング、金居、ヴィータ、キース・レッド、アレックス、L、高町なのは(StS)、天道総司、ヴィヴィオ、エネル、新庄・運切、アーカード、プレシア・テスタロッサ、リニス、『フェイト』 1日目夕方 160 余波 ◆WwbWwZAI1c 相川始 1日目夕方 169 突っ走る女 ◆HlLdWe.oBM 相川始、柊かがみ、ヴァッシュ・ザ・スタンピード、スバル・ナカジマ、泉こなた 1日目夜 170 きみのたたかいのうた(前編)きみのたたかいのうた(後編) ◆Vj6e1anjAc ヴァッシュ・ザ・スタンピード、スバル・ナカジマ、相川始、柊かがみ、ヴィヴィオ 1日目夜中 174 H激戦区/人の想いとはH激戦区/ハートのライダー誕生、Hカイザー/NEXT BATTLE誕生、Hカイザー/神と聖王 ◆gFOqjEuBs6 ヴァッシュ・ザ・スタンピード、スバル・ナカジマ、相川始、柊かがみ、ヴィヴィオ、八神はやて(StS)、金居、エネル 1日目夜中 176 散る―――(前編)散る―――(中編)散る―――(後編) ◆Vj6e1anjAc スバル・ナカジマ、相川始、ヴィヴィオ、金居、エネル 1日目真夜中 【キング@魔法少女リリカルなのは マスカレード】21 No. タイトル 作者 登場人物 時間 018 家族(前編)家族(後編) ◆gFOqjEuBs6 ヴィータ、キング、ギルモン、八神はやて(StS) 1日目深夜 032 仮面の告白 ◆Qpd0JbP8YI 八神はやて(StS)、キング、ヴィータ 1日目深夜 066 パンドラの箱は王の手に ◆jiPkKgmerY 八神はやて(StS)、キング、ヒビノ・ミライ、ヴィータ、天道総司、キャロ・ル・ルシエ 1日目早朝 082 Deathscythe ◆9L.gxDzakI キング、天道総司、キャロ・ル・ルシエ 1日目朝 088 仮面ライダーらしく ◆Qpd0JbP8YI キング、天道総司、浅倉威、ヴィヴィオ、シャーリー・フェネット 1日目朝 104 暇をもてあました神々の遊び ◆9L.gxDzakI エネル、天道総司、キング 1日目午前 117 Alive a life ~タイムリミット(前編)Alive a life ~タイムリミット(後編)Alive a life ~死闘(前編)Alive a life ~死闘(後編)Alive a life ~ゲームは止まらない ◆gFOqjEuBs6 高町なのは(StS)、シェルビー・M・ペンウッド、C.C.、天道総司、キング、ゼスト・グランガイツ、万丈目準、ヒビノ・ミライ 1日目昼 143 キングの狂宴/狙われた天道(前編)キングの狂宴/狙われた天道(後編) ◆HlLdWe.oBM 高町なのは(StS)、シェルビー・M・ペンウッド、C.C.、天道総司、キング、ゼスト・グランガイツ 1日目日中 153 13人の超新星(1)13人の超新星(2)13人の超新星(3)13人の超新星(4)13人の超新星(5)13人の超新星(6)13人の超新星(7) ◆WslPJpzlnU 柊かがみ、新庄・運切、エネル、キース・レッド、アレックス、相川始、金居、ヴィータ、キング、ヴィヴィオ、高町なのは(StS)、天道総司、アーカード、柊つかさ、万丈目準、浅倉威、プレシア・テスタロッサ、リニス、『フェイト』 1日目夕方 157 D.C. ~ダ・カーポ~ SURVIVED.C. ~ダ・カーポ~ 戦いは終わるD.C. ~ダ・カーポ~ 予兆 ◆HlLdWe.oBM 浅倉威、柊かがみ、相川始、キング、金居、ヴィータ、キース・レッド、アレックス、L、高町なのは(StS)、天道総司、ヴィヴィオ、エネル、新庄・運切、アーカード、プレシア・テスタロッサ、リニス、『フェイト』 1日目夕方 158 Kな魔王/ダークナイトKな魔王/ミライノヒカリ ◆gFOqjEuBs6 キング、ゼスト・グランガイツ、ヒビノ・ミライ 1日目夕方 173 絶望の暗雲 ◆HlLdWe.oBM アンジール・ヒューレー、クアットロ、高町なのは(StS)、天道総司、ヒビノ・ミライ、キング 1日目夜中 178 Mの姿/鏡Mの姿/マイナスからのリスタート ◆gFOqjEuBs6 アンジール・ヒューレー、キング、高町なのは(StS)、天道総司、柊かがみ 1日目真夜中 182 闇よりの使者 ◆LuuKRM2PEg アンジール・ヒューレー、キング 2日目深夜 185 Round ZERO ~MOONLIT BEETLES ◆7pf62HiyTE 金居、キング、アンジール・ヒューレー 2日目深夜 186 Pain to Pain(前編)Pain to Pain(後編) ◆HlLdWe.oBM 高町なのは(StS)、八神はやて(StS)、ユーノ・スクライア、天道総司、ヴァッシュ・ザ・スタンピード、柊かがみ、スバル・ナカジマ、ヴィヴィオ、泉こなた、アンジール・ヒューレー、キング、金居 2日目黎明 187 解ける謎!!(前編)解ける謎!!(後編) ◆LuuKRM2PEg 天道総司、キング、金居、アンジール・ヒューレー 2日目黎明 194 Masquerade ◆gFOqjEuBs6 天道総司、アンジール・ヒューレー、キング、金居 2日目早朝 196 Uを目指して/世界が終わる前に ◆gFOqjEuBs6 金居、キング 2日目早朝 197 Round ZERO~AMBITION SECRET(前編)Round ZERO~AMBITION SECRET(後編) ◆HlLdWe.oBM 高町なのは(StS)、ユーノ・スクライア、ヴィヴィオ、スバル・ナカジマ、天道総司、キング、金居、ウーノ、ドゥーエ、オットー 2日目早朝 198 魔法少女リリカルなのはBR Stage01 ファイナルゲーム魔法少女リリカルなのはBR Stage02 心の力を極めし者魔法少女リリカルなのはBR Stage03 紡がれる絆魔法少女リリカルなのはBR Stage04 虹の星剣 ◆19OIuwPQTE 高町なのは(StS)、ユーノ・スクライア、ヴィヴィオ、キング、金居 2日目朝 【金居@魔法少女リリカルなのは マスカレード】25 No. タイトル 作者 登場人物 時間 026 残る命、散った命(前編)残る命、散った命(中編)残る命、散った命(後編) ◆gFOqjEuBs6 高町なのは(StS)、シェルビー・M・ペンウッド、金居、柊かがみ 1日目深夜 060 敵か味方か? ◆RsQVcxRr96 高町なのは(StS)、シェルビー・M・ペンウッド、金居、武蔵坊弁慶 1日目黎明 063 不屈の心、無双の龍 ◆9L.gxDzakI 高町なのは(StS)、シェルビー・M・ペンウッド、金居、武蔵坊弁慶 1日目早朝 074 Round ZERO ~ SAWS CUNNING(前編)Round ZERO ~ SAWS CUNNING(後編) ◆RsQVcxRr96 高町なのは(StS)、シェルビー・M・ペンウッド、金居、武蔵坊弁慶 1日目朝 083 Don t lose yourself(前編)Don t lose yourself(後編) ◆gFOqjEuBs6 相川始、ギンガ・ナカジマ、インテグラル・ファルブルケ・ウィンゲーツ・ヘルシング、金居、武蔵坊弁慶 1日目午前 115 Round ZERO ~ JOKER DISTRESSED(前編)Round ZERO ~ JOKER DISTRESSED(後編) ◆HlLdWe.oBM 相川始、金居、武蔵坊弁慶、ギンガ・ナカジマ、インテグラル・ファルブルケ・ウィンゲーツ・ヘルシング、アーカード、アンジール・ヒューレー 1日目昼 132 MISSING KING ◆7pf62HiyTE 金居 1日目日中 138 Change the world ~変わる世界~ ◆vXe1ViVgVI アレックス、L、金居、アーカード 1日目日中 146 バトルはやてはやての決意 ◆gFOqjEuBs6 八神はやて(StS)、ヴィータ、金居、アーカード、セフィロス 1日目午後 148 光なき場所で ――月蝕・終章一節最後の鐘が鳴り止むまで ――月蝕・終章二節君の名を叫んでいた ――月蝕・終章終節楽斗 ――そして終わりなき斗いの歌 ◆Vj6e1anjAc 八神はやて(StS)、ヴィータ、金居、アーカード、セフィロス、リニス 1日目夕方 153 13人の超新星(1)13人の超新星(2)13人の超新星(3)13人の超新星(4)13人の超新星(5)13人の超新星(6)13人の超新星(7) ◆WslPJpzlnU 柊かがみ、新庄・運切、エネル、キース・レッド、アレックス、相川始、金居、ヴィータ、キング、ヴィヴィオ、高町なのは(StS)、天道総司、アーカード、柊つかさ、万丈目準、浅倉威、プレシア・テスタロッサ、リニス、『フェイト』 1日目夕方 157 D.C. ~ダ・カーポ~ SURVIVED.C. ~ダ・カーポ~ 戦いは終わるD.C. ~ダ・カーポ~ 予兆 ◆HlLdWe.oBM 浅倉威、柊かがみ、相川始、キング、金居、ヴィータ、キース・レッド、アレックス、L、高町なのは(StS)、天道総司、ヴィヴィオ、エネル、新庄・運切、アーカード、プレシア・テスタロッサ、リニス、『フェイト』 1日目夕方 165 Round ZERO ~KING SILENT ◆HlLdWe.oBM ヴィータ、アーカード、八神はやて(StS)、金居、アレックス、プレシア・テスタロッサ、リニス 1日目夜 166 燃える紅BRAVE PHOENIXわがまま ◆Vj6e1anjAc ヴィータ、アーカード、八神はやて(StS)、金居 1日目夜 171 Round ZERO ~GOD FURIOUS ◆gFOqjEuBs6 八神はやて(StS)、金居、エネル 1日目夜中 174 H激戦区/人の想いとはH激戦区/ハートのライダー誕生、Hカイザー/NEXT BATTLE誕生、Hカイザー/神と聖王 ◆gFOqjEuBs6 ヴァッシュ・ザ・スタンピード、スバル・ナカジマ、相川始、柊かがみ、ヴィヴィオ、八神はやて(StS)、金居、エネル 1日目夜中 176 散る―――(前編)散る―――(中編)散る―――(後編) ◆Vj6e1anjAc スバル・ナカジマ、相川始、ヴィヴィオ、金居、エネル 1日目真夜中 180 Ooze Garden(軟泥の庭) ◆WwbWwZAI1c 金居、プレシア・テスタロッサ 1日目真夜中 185 Round ZERO ~MOONLIT BEETLES ◆7pf62HiyTE 金居、キング、アンジール・ヒューレー 2日目深夜 186 Pain to Pain(前編)Pain to Pain(後編) ◆HlLdWe.oBM 高町なのは(StS)、八神はやて(StS)、ユーノ・スクライア、天道総司、ヴァッシュ・ザ・スタンピード、柊かがみ、スバル・ナカジマ、ヴィヴィオ、泉こなた、アンジール・ヒューレー、キング、金居 2日目黎明 187 解ける謎!!(前編)解ける謎!!(後編) ◆LuuKRM2PEg 天道総司、キング、金居、アンジール・ヒューレー 2日目黎明 194 Masquerade ◆gFOqjEuBs6 天道総司、アンジール・ヒューレー、キング、金居 2日目早朝 196 Uを目指して/世界が終わる前に ◆gFOqjEuBs6 金居、キング 2日目早朝 197 Round ZERO~AMBITION SECRET(前編)Round ZERO~AMBITION SECRET(後編) ◆HlLdWe.oBM 高町なのは(StS)、ユーノ・スクライア、ヴィヴィオ、スバル・ナカジマ、天道総司、キング、金居、ウーノ、ドゥーエ、オットー 2日目早朝 198 魔法少女リリカルなのはBR Stage01 ファイナルゲーム魔法少女リリカルなのはBR Stage02 心の力を極めし者魔法少女リリカルなのはBR Stage03 紡がれる絆魔法少女リリカルなのはBR Stage04 虹の星剣 ◆19OIuwPQTE 高町なのは(StS)、ユーノ・スクライア、ヴィヴィオ、キング、金居 2日目朝 【泉こなた@なの☆すた】18 No. タイトル 作者 登場人物 時間 004 オタクと吸血鬼とレバ剣と ◆UOleKa/vQo アーカード、泉こなた、スバル・ナカジマ 1日目深夜 043 切なくていとおしいほど、想いは時空を越えて ◆9L.gxDzakI ルルーシュ・ランペルージ、ディエチ、泉こなた、スバル・ナカジマ 1日目黎明 053 Shooting Bullet(前編)Shooting Bullet(後編) ◆9L.gxDzakI ルルーシュ・ランペルージ、ディエチ、泉こなた、スバル・ナカジマ、ミリオンズ・ナイブズ 1日目早朝 057 Subaru s Adventures in Parallel world ◆7pf62HiyTE ルルーシュ・ランペルージ、スバル・ナカジマ、泉こなた、早乙女レイ 1日目早朝 070 誰かのために生きて、この一瞬が全てでいいでしょう(前編)誰かのために生きて、この一瞬が全てでいいでしょう(後編) ◆9L.gxDzakI ルルーシュ・ランペルージ、スバル・ナカジマ、泉こなた、早乙女レイ 1日目朝 093 王の財宝 ~天地鳴動の力~王の財宝 ~カテゴリーK~王の財宝 ~祝福の風~ ◆7pf62HiyTE ルルーシュ・ランペルージ、スバル・ナカジマ、泉こなた、早乙女レイ 1日目朝 109 守りたいもの守れないひと ◆9L.gxDzakI ルルーシュ・ランペルージ、スバル・ナカジマ、泉こなた、早乙女レイ、シャーリー・フェネット、ヴィヴィオ 1日目昼 125 らっきーえむぶれむ星戦の系譜99% ◆7pf62HiyTE 泉こなた、早乙女レイ 1日目日中 128 いきなりは変われない(前編)いきなりは変われない(後編) ◆HlLdWe.oBM ルルーシュ・ランペルージ、スバル・ナカジマ、チンク、泉こなた、早乙女レイ、柊かがみ 1日目日中 129 Nightmare of Shirley(前編)Nightmare of Shirley(前編) ◆7pf62HiyTE シャーリー・フェネット、早乙女レイ、泉こなた、ヴィヴィオ、ルルーシュ・ランペルージ 1日目日中 140 崩落 の ステージ(前編)崩落 の ステージ(後編) ◆HlLdWe.oBM シャーリー・フェネット、早乙女レイ、ヴィヴィオ、ルルーシュ・ランペルージ、スバル・ナカジマ、泉こなた、ルーテシア・アルピーノ 1日目午後 144 Blue Swear―――蒼い誓いWärter―――灯台守 ◆7pf62HiyTE スバル・ナカジマ、泉こなた 1日目夕方 154 ひとつ分の陽だまりに ふたつはちょっと入れない一人分の陽だまりに 僕らは居る ◆vXe1ViVgVI アンジール・ヒューレー、ヴァッシュ・ザ・スタンピード、スバル・ナカジマ、泉こなた 1日目夕方 169 突っ走る女 ◆HlLdWe.oBM 相川始、柊かがみ、ヴァッシュ・ザ・スタンピード、スバル・ナカジマ、泉こなた 1日目夜 172 Iの奇妙な冒険/祝福の風Iの奇妙な冒険/すたーだすとくるせいだーす ◆7pf62HiyTE 泉こなた 1日目夜中 179 こなたとリインと男の娘 ◆LuuKRM2PEg ユーノ・スクライア、泉こなた 1日目真夜中 184 罪罪(状態票) ◆LuuKRM2PEg 天道総司、ヴァッシュ・ザ・スタンピード、ユーノ・スクライア、高町なのは(StS)、八神はやて(StS)、スバル・ナカジマ、ヴィヴィオ、泉こなた、柊かがみ 2日目深夜 186 Pain to Pain(前編)Pain to Pain(後編) ◆HlLdWe.oBM 高町なのは(StS)、八神はやて(StS)、ユーノ・スクライア、天道総司、ヴァッシュ・ザ・スタンピード、柊かがみ、スバル・ナカジマ、ヴィヴィオ、泉こなた、アンジール・ヒューレー、キング、金居 2日目黎明 【柊かがみ@なの☆すた】29 No. タイトル 作者 登場人物 時間 009 Heart of Iron ◆WMc1TGFkQk エリオ・モンディアル、シェルビー・M・ペンウッド、柊かがみ 1日目深夜 026 残る命、散った命(前編)残る命、散った命(中編)残る命、散った命(後編) ◆gFOqjEuBs6 高町なのは(StS)、シェルビー・M・ペンウッド、金居、柊かがみ 1日目深夜 042 Little Wish(前編)Little Wish(後編) ◆Qpd0JbP8YI 八神はやて(A s)、セフィロス、シグナム、アレックス、柊かがみ 1日目黎明 049 光が紡ぐ物語 ◆jiPkKgmerY L、ザフィーラ、アレックス、柊かがみ 1日目早朝 081 Amazing Grace(The Chains are Gone)(前編)Amazing Grace(The Chains are Gone)(後編) ◆Qpd0JbP8YI L、ザフィーラ、アレックス、柊かがみ 1日目朝 091 変わる運命(前編)変わる運命(後編) ◆HlLdWe.oBM L、ザフィーラ、アレックス、柊かがみ、万丈目準 1日目午前 098 渇いた叫び(前編)渇いた叫び(後編) ◆7pf62HiyTE 柊かがみ、万丈目準 1日目午前 101 メビウスの輪から抜け出せなくて(前編)メビウスの輪から抜け出せなくて(後編) ◆gFOqjEuBs6 柊かがみ、ヒビノ・ミライ 1日目午前 107 烈火(Side K)烈火(Side V) ◆7pf62HiyTE 柊かがみ、ヴィータ 1日目昼 118 かがみとバクラが堂々とホテルで休憩するそうです ◆gFOqjEuBs6 柊かがみ 1日目昼 128 いきなりは変われない(前編)いきなりは変われない(後編) ◆HlLdWe.oBM ルルーシュ・ランペルージ、スバル・ナカジマ、チンク、泉こなた、早乙女レイ、柊かがみ 1日目日中 130 想いだけでも/力だけでも ◆9L.gxDzakI スバル・ナカジマ、柊かがみ 1日目日中 130 Barrier Jacket & Guns ◆HlLdWe.oBM 柊かがみ 1日目日中 135 [5RIDERS]希望 ◆7pf62HiyTE 浅倉威、柊かがみ、相川始、スバル・ナカジマ 1日目午後 147 ライダー大戦2010(前編)ライダー大戦2010(中編)ライダー大戦2010(後編) ◆gFOqjEuBs6 相川始、浅倉威、柊かがみ 1日目午後 153 13人の超新星(1)13人の超新星(2)13人の超新星(3)13人の超新星(4)13人の超新星(5)13人の超新星(6)13人の超新星(7) ◆WslPJpzlnU 柊かがみ、新庄・運切、エネル、キース・レッド、アレックス、相川始、金居、ヴィータ、キング、ヴィヴィオ、高町なのは(StS)、天道総司、アーカード、柊つかさ、万丈目準、浅倉威、プレシア・テスタロッサ、リニス、『フェイト』 1日目夕方 157 D.C. ~ダ・カーポ~ SURVIVED.C. ~ダ・カーポ~ 戦いは終わるD.C. ~ダ・カーポ~ 予兆 ◆HlLdWe.oBM 浅倉威、柊かがみ、相川始、キング、金居、ヴィータ、キース・レッド、アレックス、L、高町なのは(StS)、天道総司、ヴィヴィオ、エネル、新庄・運切、アーカード、プレシア・テスタロッサ、リニス、『フェイト』 1日目夕方 162 波紋 - a divine messenger of the two. ◆WwbWwZAI1c ヴァッシュ・ザ・スタンピード、柊かがみ 1日目夕方 169 突っ走る女 ◆HlLdWe.oBM 相川始、柊かがみ、ヴァッシュ・ザ・スタンピード、スバル・ナカジマ、泉こなた 1日目夜 170 きみのたたかいのうた(前編)きみのたたかいのうた(後編) ◆Vj6e1anjAc ヴァッシュ・ザ・スタンピード、スバル・ナカジマ、相川始、柊かがみ、ヴィヴィオ 1日目夜中 174 H激戦区/人の想いとはH激戦区/ハートのライダー誕生、Hカイザー/NEXT BATTLE誕生、Hカイザー/神と聖王 ◆gFOqjEuBs6 ヴァッシュ・ザ・スタンピード、スバル・ナカジマ、相川始、柊かがみ、ヴィヴィオ、八神はやて(StS)、金居、エネル 1日目夜中 175 Yな戦慄/烈火剣精は見た!Yな戦慄/八神家の娘 ◆7pf62HiyTE ヴァッシュ・ザ・スタンピード、柊かがみ、八神はやて(StS) 1日目真夜中 178 Mの姿/鏡Mの姿/マイナスからのリスタート ◆gFOqjEuBs6 アンジール・ヒューレー、キング、高町なのは(StS)、天道総司、柊かがみ 1日目真夜中 183 救済N/EGO~eyes glazing over救済N/Destiny s Play ◆7pf62HiyTE 高町なのは(StS)、柊かがみ、天道総司 2日目深夜 184 罪罪(状態票) ◆LuuKRM2PEg 天道総司、ヴァッシュ・ザ・スタンピード、ユーノ・スクライア、高町なのは(StS)、八神はやて(StS)、スバル・ナカジマ、ヴィヴィオ、泉こなた、柊かがみ 2日目深夜 186 Pain to Pain(前編)Pain to Pain(後編) ◆HlLdWe.oBM 高町なのは(StS)、八神はやて(StS)、ユーノ・スクライア、天道総司、ヴァッシュ・ザ・スタンピード、柊かがみ、スバル・ナカジマ、ヴィヴィオ、泉こなた、アンジール・ヒューレー、キング、金居 2日目黎明 189 戻らないD/スバル・ナカジマ戻らないD/柊かがみ ◆gFOqjEuBs6 スバル・ナカジマ、柊かがみ 2日目早朝 192 ……起きないから奇跡って言うんですよ ◆HlLdWe.oBM 八神はやて(StS)、柊かがみ 2日目早朝 193 Zに繋がる物語/白銀の堕天使Zに繋がる物語/サティスファクション ◆7pf62HiyTE スバル・ナカジマ、柊かがみ、八神はやて(StS) 2日目早朝 【柊つかさ@なの☆すた】11 No. タイトル 作者 登場人物 時間 021 柊つかさは殺し合いの夢を見るか? ◆Qpd0JbP8YI 遊城十代、柊つかさ 1日目深夜 038 夢・オ・チでリセット! ◆RsQVcxRr96 フェイト・T・ハラオウン(StS)、柊つかさ、遊城十代 1日目黎明 058 やわらかな温もりに瞳閉じ ◆C1.qFoQXNw フェイト・T・ハラオウン(StS)、柊つかさ 1日目早朝 077 牙を持つカード ◆9L.gxDzakI 柊つかさ 1日目朝 084 そんな運命 ◆7pf62HiyTE 柊つかさ、フェイト・T・ハラオウン(A s) 1日目朝 089 バイバイサイカイ ◆Qz0BXaGMDg 遊城十代、シャマル、クアットロ、柊つかさ、八神はやて(StS) 1日目朝 092 Paradise Lost(前編)Paradise Lost(後編) ◆9L.gxDzakI 柊つかさ、遊城十代、フェイト・T・ハラオウン(A s) 1日目昼 108 Teardrop ◆HlLdWe.oBM 柊つかさ、遊城十代 1日目昼 149 お昼ごはんの時間だよ ◆wsuikZ7zFc アンジール・ヒューレー、柊つかさ 1日目日中 150 Tの悲劇/書き換えられた記憶 ◆gFOqjEuBs6 柊つかさ 1日目夕方 153 13人の超新星(1)13人の超新星(2)13人の超新星(3)13人の超新星(4)13人の超新星(5)13人の超新星(6)13人の超新星(7) ◆WslPJpzlnU 柊かがみ、新庄・運切、エネル、キース・レッド、アレックス、相川始、金居、ヴィータ、キング、ヴィヴィオ、高町なのは(StS)、天道総司、アーカード、柊つかさ、万丈目準、浅倉威、プレシア・テスタロッサ、リニス、『フェイト』 1日目夕方
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どうして、其処にいるの──。どうして、此方に来ないの──。 其処には何も無いよ──。辛いだけ。苦しいだけ。寂しいだけ。虚しいだけ。 だから、早く此方に来ようよ──。皆が待ってるんだよ──。最初は怖いかもしれな いけれど、そんなの全然大丈夫だよ──。 此処には──。 此処には──神様がいるの──。 / アースラ艦橋の艦長席に腰掛け、クロノ・ハラオウンは思案気に頬杖をついていた。 艦内は今休憩中であり、殆どの艦橋要員は現場を出払い、各々が艦内の箇所で息抜き をしている。 彼は私的な電子書簡の画面を閉じると、長文を読破した疲労や其れに付随する心労に 嘆息を吐いた。 「また義妹さんから? 本当、仲がいいのね」彼の婚約者は湯気の立つ湯呑みを手に近 寄る。 「なのはは教導隊の長期実習で多忙らしいしな。反面、此方は軽い偵察続きで暇は暇だ し、話し相手位なら御安い御用さ」 「まさか、話し相手以上の事、してないでしょうね?」 エイミィは茶色い髪の下で、表情に女としての疑念を閃かせる。クロノは意外な指摘 に間の抜けた声を上げ、彼女の的外れな嫉妬を笑い飛ばした。 「そんなわけ無いだろう。全く。……それにしても、妙だな」 「何がよ」 クロノはエイミィの言及に返答するように、先程まで眼を通していた義妹からの電子 書簡を再び開く。二人の眼前に光学画面が展開された。 エイミィが彼女からの近状報告を黙読していくうち、クロノが抱く疑念に同調するよ うな顔色を見せた。 「此れ、本当に?」 「流石に、真面目な彼女がこんな嘘八百を並べないだろう。確かにヴォルケンリッター が八神はやてと常に合流していなければならない、という処遇規定は無い。だけど、 こんなに急な人事異動は不可解だ」 「本局で何かあったのかな。民間企業への保護観察の特例委託……? しかも地球みた いな辺境次元世界の?」 決して他意の無いエイミィの発言に、将来の夫は少々責めるような目色を向けた。即 座に彼女も幾度かの馴染みを経た世界への冷淡な表現に気付き、気拙そうな愛想笑い で場を取り繕う。 「海鳴市所在の橘総合研究所。電機関連の企業で、会社規模は然程大きくはない。寧ろ、 人員其の他の部分で言えば、中小企業と何ら格差は無い。何処かのダミー企業か? 何故、そんな辺鄙な会社が時空管理局と流通出来ている?」 エイミィが用意してくれた茶を啜りながら、クロノは義妹からの平凡な電子書簡を種 にして様々な憶測を拡大させる。片手間に橘総合研究所の詳細を調べ、其方の結果一 覧を書簡の横に表示する。事業内容には何ら如何わしいものは見当たらないが、英利 政美という社員の事故死を原因にして、会社の風向きが芳しくなくなっている事が彼 の眼を留めた。 「さぁ……。で、四人の主様は今?」 「遠方の管理世界で発見されたロストロギアの調査に出張中だ。学校が春休み明けだと 言うのに、本局は彼女じゃなく、他に誰か嘱託魔導師でも回せなかったのか。何て人 事だ、今度苦情をくれておいてやる」 一度頭に引っ掛かった疑いに釣られ、彼は認識する物事の一つ一つに不平を漏らして いく。そんな艦長を、第一の理解者は包容力のある笑みで見守っていた。 「でも、あの四人が一般社会の厳しさってのを知るいい機会になるんじゃないかな? ザフィーラ以外はOL勤務かな?」 暢気に解釈するエイミィへ、湯飲みを傍の操作盤に置いたクロノは呆れた微笑をした。 「さぁな。簡単に言ってくれるよ」 しかし、その朗らかな顔付きは瞬時に厳然としたものへと移行する。それは積み重ね られた経験からの予感の胎動に触発された、魔導師としての鋭敏な勘によるものだった。 「なのはと八神はやてを欠いた海鳴市……。若しかしたら、地球で再び何かが起ころう としているのかもしれないな」 「……」 クロノの豹変した声色に感化され、エイミィも俄かに頬を強張らせる。アースラ艦内 は依然として長閑な空気に包まれていた。 / 夜を知らない繁華街は、蠢く人の群れに蹂躙されていた。仕事帰りの会社員の酔った 叫び声、奔放な若者の闊歩する裏路地、大通りには列を成す自動車の走行音や警笛音 が引っ切り無しに行き交う。 そんな電飾の世界に、人の眼に紛れて活動する四つの影があった。 「ヴィータ、シャマル、ザフィーラ、其方は如何だ?」 シグナムは平素を忍ぶ背広姿の儘、切れのある美貌に僅かな焦燥を浮かべていた。往 来に群がる人々の間を器用に潜り抜け、魔導師としての超感覚で目標の所在を捜索する。 「ダメだ、この結界みたいなモンを消さない限り手が打てねぇよ」 ヴィータの弱気な返事にシャマルの戸惑いが続く。前者はビルの上で広域を見回し、 後者はシグナムとは別方角で地道に行動している。 「魔法じゃないんですよ。いえ、魔法なんですけど、魔力が全く感じられないんです。 魔力じゃない魔法……こんな事、絶対に有り得ないんです。有り得るわけがないんです。でも……」 「確かにな。一体何なのだ此れは? 魔法で現実を改変しているのか? いやしかし、 それだけ強力な魔法ならば一切魔力が感知できないなど!」 「狼狽するな。現実を直視しろ」 盾の騎士が同士の困惑を諌める。しかし、その語気には判然と彼女達同様の胸中が滲んでいた。 シグナムが付近で何かが激突する物音を聴き、強烈な不安に駆られて現場に急行する。 残る三人も同じ騒ぎを間も無く察し、澱んだ空気に動揺が漂い始めた繁華街の路地へと騎士が合流する。 「何だ?」「おい、飛び降り自殺だぜ」「か、関係ねぇ! 俺は関係ねぇよ!」 まさに事件の瞬間を目撃した通行人連中が、それぞれの反応で場を騒がせ始めた。 崩れた電光看板の灯火に、悲惨な朱色の液体が混ざっていく。 雑居ビルの屋上から落下し、直下の看板に身を打ちつけて物言わぬようになった小柄 な姿は、私立聖祥大附属中学校の制服を着ていた。 騒然となる女子中学生の自殺現場の一歩後ろで、四人の騎士は異様に冷静な面持ちで 佇んでいた。沈黙に耐え切れず、ヴィータがシグナムを見上げる。 「間違い無い。あの娘は四方田千砂……。任務は失敗だ。撤収し、報告を済ませよう」 四つの騎士の影は、そうして明るい夜の街から消え去っていった。暫くし、パトカーの 警報音がこの路地に近付いてきた。 / フェイト・T・ハラオウンの目覚めは、何時もより沈んだものだった。高町なのはに 続き、八神はやてという大親友の日常の不在が決定してから今日迄、彼女は何処とな く憂鬱な毎日を送っていた。 別に、あの二人だけが自分の人間関係の全てじゃない……そう内心に言い聞かせ、着 替えを済ませたフェイトは、居間に顔を出す。義母は既に朝の家事をしており、和や かに娘へ挨拶を寄越す。 女二人のハラオウン家の朝食も、心成しか沈黙が増えていた。 義母もこの娘の最近の退屈を察してはいたが、言い条何の得策も与えられずにいた。 嘱託魔導師としての仕事も少し間が空き、本業である学生を満喫出来るものの、其処 を存分に実感するには大切な要素が二つ欠落していた。 「また夜遅くまでクロノとメールしていたの?」 弁当を渡しながら、リンディは娘の浮かない顔を覗き込む。 「うん……なのはは忙しくて中々連絡取れないし、はやても邪魔すると悪いから。昨日 はお義兄ちゃんの他にも、すずかとアリサにも」 先日の遣り取りの中で、フェイトは義兄にもヴォルケンリッターがこの街に帰ってき た事を報知していた。しかし、四人は保護観察委託先の業務に手一杯らしく、あまり フェイトとの付き合いは取れていない。 「あんまり自分の都合で、相手に迷惑をかけたら駄目よ」 やんわりとだけ忠告し、リンディは娘の登校を玄関迄見送った。フェイトは靴を履く とリンディについてきたアルフの頭を撫で、通路の向こうへと消えていった。アルフは、 自分の頭に触れるフェイトの掌が、少しだけ寂しげに思えた。 味気の無い学校生活が、淡々と流れては終わった。朝の学級活動で、担任の教師が何 やら同学年の生徒が先日自殺した、その生徒の名を借りた悪戯が横行している、と注 意を呼びかけていたが、フェイトは上の空で聞き流していた。 すずかとアリサから放課後の遊戯に誘われたフェイトだったが、何かと理由をつけて 辞退した。彼女達二人も、なのはとはやてのいない日々に思い沈んでいるフェイトを 慮ってはいるのだが、強いて彼女の心の煩いに踏み込めない空気があった。 茫漠とした気分の儘で、フェイトは帰宅した。義母は家を空けていた。留守を任され ていたアルフへは一応の愛想を見せ、吸い寄せられるような足取りで個室へと向かう。 重々しい溜め息を吐いた傍で、彼女の携帯電話が着信音を奏でた。咄嗟に喜色を浮か べたフェイトは、鞄に仕舞ってあった携帯電話を取り出して嬉々と本体を開く。 少女の顔に落胆と怪訝の色がよぎる。送信主は見知らぬアドレスだった。不気味な気 持ちになったフェイトだったが、少しの間を置いて意を決して本文を開いた。 こんにちわハラオウンさん。 私、四方田千砂。 ハラオウンさんも、私の事、名前だけは知ってるよね──。 フェイトは送られてきた電子書簡の本文を読んだ瞬間、朝の教師の連絡を一気に思い出した。 携帯電話を手にした状態で硬直し、凝然と息を呑む。窓の向こうから聞こえてくる自動 車の排気音が、やけに遠くからのように感じられた。 <続> 目次へ 次へ
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ユーノ・スクライア司書長の女難 ◆9L.gxDzakI 時は流れ、暗黒の森にも微かな明度が差していた。 フィールド全体を覆っていた夜の闇はなりを潜め、僅かに顔を出した太陽の光が広がっていく。 朝靄漂う森の中、かさり、かさりと響く音。 朝露に濡れた草木を踏みしめながら、林間を進む者達がいる。 並んで立つ2人組はどちらもが女性であり、どちらもが白い服を身に纏い、どちらもが金色の瞳を持っていた。 とはいえ共通点はそれだけで、他の部分は大幅に異なっている。 まず、頭髪。片方は瞳と同じ金色だが、もう片方はむしろそれと対を成す銀髪。 続いて、外見年齢。金髪の方は10代後半の少女だが、銀髪の方はその10代に差し掛かるか否かと言った幼児。 特に金髪の方はというと、非常に整ったプロポーションを持った、グラマラスな女性だった。 豊かに胸元の布を押し上げる双丘、一級品の彫刻のごときラインを有した肢体。 隣の幼児体型の銀髪と並べると、これは一体何の嫌がらせですか、とでも言いたくなる。 とはいったものの、もはや銀髪の方はそれも気にならなくなったらしい。 傍らでふわふわと浮遊するガジェットを見ながら、何事かを思考している。 「まずいな……レリックの反応が移動を始めた」 微かに苦々しげな響きを込めながら、銀髪――チンクが呟いた。 片方を眼帯に覆われた黄金の隻眼は、レーダーの上で動くマーカーをじっと見つめている。 「レリックの持ち主が、病院を出たということ?」 「そうなるな」 金髪――明日香の問いに、チンクは答える。 「となると、結構厄介なことになりそうね……」 言いながら、明日香が嘆息した。 もしも目標が病院に篭ったままだったならば、ある程度はスムーズに事が進んだだろう。 しかし目標は動いている。となると、少々面倒なことになってくる。 もとより病院というものは、この舞台の中でも比較的安全な場所と言えた。 バリケードを設置すれば侵入者を遮断できるし、医療品を使った治療も行える。 もっとも、自分達戦闘機人のように、通常の人体とは異なる身体を持っている者の場合は、若干勝手が違ってくるのだが。 ともかくも、病院に篭っていれば、ある程度の安全性が確保できる。 つまりそこに居続ける者は、この殺し合いに消極的である者である可能性が高い。 だが、今回のようにそこから移動する人間は違う。 わざわざ安息の地を捨ててまでフィールドをうろつく理由は2つに1つ。 積極的に殺し合いを止めようとする人間か、積極的に殺し合いに乗ろうとする人間のどちらかだ。 特に後者であった場合、非常に始末が悪くなる。不用意に接触しては、そのまま戦闘になりかねない。 (もしも戦闘になった場合、レリックの回収と姉妹との合流……どちらを優先する?) そしてこの場において、もっともチンクが問題視していたのが、それだ。 既にメッセンジャーとして、2機のガジェットを街に放った。 これをクアットロとディエチが読めば、2人は日が昇りきるまでに病院に向かうだろう。 しかしそこに、自分がいなかった場合はどうなる。 時間の推移から察するに、2人が病院に着くのは最初の放送の後となる可能性が高い。 前ならばまだよかった。無人の病院に着いたとしても、後から流れる放送に自分の名前がなければ、ひとまず生きていると確認は取れる。 だが生憎と、それは望めそうにない。情報も何もないままに、姿を現さないチンクの安否への不安に囚われることとなる。 叶うことならばレリックを後回しにし、姉妹との合流を急ぎたいとは思う。 しかし、それではそのタイムロスの間に、聖王の器が殺害されてしまうかもしれない。 脱出のための鍵を取るか、共に脱出すべき家族を取るか。 答えが出るとも到底思えない、究極の二者択一。 「……天上院、ひとまずお前の支給品を見せてくれないか? いざ戦闘となった場合のために、使える手札は把握しておきたい」 だがどちらを選ぶにせよ、まずはしておかなければならないことがあった。 時間を破ってまでレリック確保に専念するにせよ、時間を守って敵前逃亡するにせよ、武器は必要だ。 「分かったわ」 言いながら、明日香がデイパックの口を開け、中の物をあさり始めた。 無論、ケースに入れられた3つのカプセルについては伏せながら。 「一番目立つのはこれね」 最初に取り出されたのは、大仰な兜だった。 煌びやかな宝石がちりばめられた豪奢な造形に、両脇からせり出した猛牛のごとき凶悪な角。 中央には黄金の翼を生やした、コブラのレリーフが取り付けられている。 見るからに剛健な兜が、明日香の両手に抱えられていた。 「確かに防御力はありそうだが……頭だけ守ってもな」 「ええ……それにこれ、すごく重いし」 互いに険しい表情を浮かべるチンクと明日香。 これがまだ鎧だったならば、まだ防御手段としては有効だっただろう。 しかし、この支給品は兜単品。頭狙いの攻撃以外は防げない。その上一般人が扱うには凄まじく重い。 これでは装備したとしても、ただの重りにしかなり得ないだろう。 もっとも、このインパクトに見合うだけの人物が装備すれば、それなりの威圧感を与えられたのだろうが。 ともあれ少なくとも、これは明日香には見合わない物だ。現状において役立たずとなったそれを、デイパックにしまう。 そうして続いての支給品を取り出した。 「これは……籠手、か?」 外気に晒されたのは、またしても黄金色に輝く物体だった。 緑色の宝石を煌かせ、獅子の顔を象ったようなそれは、見たところ左腕に嵌めるためのガントレットらしい。 「ここに……ほら」 怪訝そうな表情を浮かべるチンクの目の前で、明日香がそこから何かを引き抜いてみせた。 現れたのは1振りのナイフ。エメラルドのごとく透き通った、見事な刀身を輝かせている。 他に機能はないようだ。要するに、これはそのナイフの鞘らしい。 「また随分と大仰な鞘だな」 もう少しデザインセンスはなかったものか、と、呆れながらチンクが言った。 ともあれその鞘――彼女らは知る由もないが、名を「ガオーブレス」と言う――を、明日香の左腕に嵌める。 頑丈な金属で作られている以上、籠手としても一応扱うことはできるだろう。 おまけに、それほど重くない。戦闘が控えていると分かった以上は、装備しない手はない。 そして、取り出された最後の1つは、 「……トランプ?」 絵札52枚に、ジョーカー2枚。ケースに収められた、54枚組1セットのトランプだった。 何の変哲もない、ただのカード。おおよそ意味があるとは思えない。要するに、ハズレ。 どうやら明日香に支給された物のうち、役に立つのはガオーブレスぐらいだったらしい。 もっとも、先の兜などは、最悪ランブルデトネイターで爆弾へ変えることもできる。ただ、それはあくまで最終手段。 考えても見てほしい。それほどまでに大きく重いものを、わざわざしんどい思いをしてまで誰が投げようか。 「まぁ、何にせよ、このレリックの持ち主と相対した時には……、!」 言いかけたチンクが、そこで言葉を切った。 「どうしたの?」 「しっ……誰かが近寄ってきている」 首を傾げた明日香に向かって囁くと、木陰に隠れるように指示を出した。 戦闘機人の鋭敏な聴覚は、唯人たる明日香には捉えられないような音でさえも聞き分ける。 彼方から迫ってくる車輪の音。すなわち、何者かの気配。 可能性は薄いだろうが、あの緑の鎧の男かもしれないのだ。明日香を庇いながら戦える相手ではないことは、先の戦闘で重々承知している。 やがて音量は彼女の耳にもはっきり聞き取れるようになり、そのまま通り過ぎた。 ぶぅぅぅぅぅん。エンジン音が疾走し、彼女らのすぐ傍を走り抜ける。 一瞬しか見ることはできなかったが、確かローラーブーツを履いた少女だったか。 ちょうどチンクと外見年齢は同じくらい。紫の髪に、赤い瞳が特徴的だった。 感情に乏しい表情で、コートをたなびかせながら脇を通過していき―― 「――ってちょっと待ったぁぁぁぁぁ!」 思いっきり見覚えのある人間を、チンクは身を乗り出して呼び止めた。 ◆ 自分は何をやっているのだろう。 心底、ユーノ・スクライアは呆れ返っていた。 自分の保身のために人間の男としての尊厳を捨て、彼は1匹の雄フェレットとしての道を選んだ。 そもそもそれが、自分が小さくなれば首輪も外れるだろうという、馬鹿馬鹿しい判断ミスに端を発している辺りが情けない。 おかげで自分は、人間として行動することを許されなくなった。少なくとも、この少女と同行している限り。 この身体では支給品を扱うこともできないし、仲間との合流にも支障をきたす。何より、獣として振る舞うのは居心地が悪い。 そしてそのユーノだが――今は所在なさげに、小さな顔を真っ赤に染めていた。 現在地、幼女の胸元。扇情的なバニースーツと、暖かな体温に挟まれている。 確かルーテシアと名乗ったか。この少女は現在の状況に、微塵も羞恥心を抱いていないようだ。 これだから、獣というのはやってられない。人間じゃないからということで、すぐにこんな風に扱われる。 自分はれっきとした男なのに。男なりに恥ずかしくてたまらないのに。 どぎまぎしつつも、しかし一切の抵抗もできないまま、ユーノは疾走するルーテシアの胸に身を預けていた。 ……いやいやちょっと待て。自分は一体何をどぎまぎしているんだ。 いかに女性とはいえ、この子はまだ幼い女の子じゃないか。 これが成熟したセクシーな女性ならまだしも、何を自分は子供相手にこんなに過剰反応しているんだ。 まさかなのはと初めて会った、ガキの頃の自分じゃあるまいし。変態嗜好のロリコンでもあるまいし。 相手は子供。慌てることはない。自分にそっち方面の趣味は絶対ない! そんな風にして、必死に平静を保とうとする。 「――ってちょっと待ったぁぁぁぁぁ!」 そして次の瞬間、それは唐突に打ち切られた。 「え?」 背後から声がする。自分達を呼び止める叫びが響く。 ユーノにとっては聞き覚えのない声。しかし、ルーテシアには覚えがあったのだろう。 反射的にマッハキャリバーにブレーキをかけると、数秒の思考の後、踵を返して再度加速する。 緩やかな速度で後退すると、そこには1人の銀髪の幼女と、1人の金髪の女性の姿があった。 「ご無事でしたか、ルーテシアお嬢様」 歩み寄ったのは銀髪の方で、発した声音も先ほどの制止と同じ。 片方しか開いていない金色の瞳に安堵の色を映し、外見の割には幾分か落ち着いた口調で言った。 「チンク」 いつも通りのぽつりと呟くような声で、ルーテシアがその名を呼ぶ。 チンク、という名前には聞き覚えがあった。ルーテシアと面識のある人間として、紹介された名前だったはずだ。 「知り合いなの?」 「まぁ、そんなところだ」 金髪の明日香の問いかけに答えたことからも、その様子が伺えた。 (……うん? ちょっと待てよ?) と、その時、不意に浮かんだ疑問が1つ。 ルーテシアの仲間は見つかった。彼女を「お嬢様」と呼ぶ隻眼の幼女が。 (で……この人は一体何?) このチンクという少女は一体何者で、一体ルーテシアとどういった関係にあるというのだ。そもそもルーテシアは何者なのだ。 普通に考えるならば、それこそ良家のお嬢様で通るだろう。 旧時代の貴族の家系。かの有名なモンディアル家のような富豪の令嬢。あるいは管理局高官の娘とも。 異様に幼いチンクの容姿も、使用人の娘だとか、乳兄弟だとかといった線で説明はつく。 そう。普通ならば。 だがこの少女の容姿の何としたこと。片目に眼帯をした少女など、真っ当な家庭ではまず見られない。 ましてや、それが医療用の白いものでなく、レザーでできたいかにも悪そうな黒眼帯なら尚更だ。 こんな見るからに怪しい娘に「お嬢様」と呼ばれる少女が、普通の良家の子供なわけがない。 更に引っ掛かるのは、例の「アジト」という言い回し。 本当なら信じてやりたい。こんな想像はしたくない。でもそう思わずにはいられない。 こうした情報から想定しうるルーテシアの身分を、不幸にもユーノは知っていた。 すなわち――マフィアの娘。 ヤクザのボスの子。 極道の世界のお嬢様。 ドコノクミノモンジャワレスマキニシテシズメタルゾコラ、とか、そういう世界の人。 背筋が一気に粟立った。全身の毛皮が逆立った。 ひょっとすると自分は、とんでもない子を見つけてしまったのではなかろうか。 まして自分が人間であるとばれ、こんな破廉恥な行いに出たと知れた時には―― 「――それでお嬢様、その動物は?」 がちがちと震え上がるユーノの思考を、チンクの問いが遮った。 「ユーノっていう……喋るイタチの子」 「……フェレットです……」 本当はフェレットですらない。人間です。それも貴方よりも大分年上なんです。 そうだと気付いてほしい。 ああいや、微妙。そうは気付いてほしくないかもしれない。少なくとも、この極道っぽい子にはバレない方がいい。 簀巻き、指詰め、ロシアンルーレット。想定されるありとあらゆる「けじめのつけ方」。 どれもこれも、できれば味わいたくない。最も、チンクは極道の人間ではないのだが。 「へぇ……こんな子まで参加させられてるのね」 ルーテシアの胸元のユーノを覗き込みながら、明日香が言った。 周囲が周囲なだけに、彼女の抜群のプロポーションはよく目立つ。 所在なさげにユーノは視線を逸らした。 どうもここに来てから、自分はこんな目にばかり遭っているような気がする。 この殺し合いから脱出できたら、しばらく女の子とは距離を取りたい。割と本気でそんなことを思っていた。 「それでお嬢様は、どちらに向かわれるおつもりで?」 「ドクターのアジトに、ゼストやチンク達を捜しに……」 「我々もそこから来たのですが、特に他には誰も……」 ユーノがどぎまぎしてたり肝を冷やしている間にも、ルーテシアとチンクは話を進めていく。 どうもこの2人もそのアジトという場所を目指し、そこで何らかの収穫があってここまで来たらしい。 それがチンクの横でふよふよと浮いている、楕円型の機械。ガジェットとか言っていたか。 それにはレーダーがついていて、レリックという、ここからの脱出のために使える物を探知できるのだそうだ。 そして今、それが反応を示している。すなわち、脱出の鍵が見える範囲にある。 「あとは聖王の器……それを捜すために、既に姉妹達にも、アジトから連絡を入れてあります。とはいえ、こちらから一方的にですが」 「ちょっと待って! そんなの聞いてないわよ」 「ああ、すまなかった。言うのが遅れていた」 隠し事をされた明日香の憤慨を、チンクがさらりと流す。どうやらこの2人、あまり友好的でもないらしい。 「いかに貴方と言えど、ガリューや地雷王なしでは危険すぎる……我々と共に病院へ向かい、姉妹の保護を受けてはもらえないでしょうか」 最後に、チンクがルーテシアへと懇願した。 これはユーノにとっては知る由もないが、チンクは彼女の存在によって、ようやく決心をつけることができたのだ。 脱出の鍵となるレリックと器を探すのが先か、共に脱出すべきクアットロとディエチと合流するのが先か。 彼女が選んだのは、後者。 強力な召喚術の使い手たるルーテシアだったが、この場ではどうやら下僕達を呼ぶことはできないらしい。 すなわち、召喚こそを戦闘の肝とする召喚士にとっては、あまりにも危険すぎる状況。 彼女はスカリエッティの大事な協力者だ。家族同様、無事に連れ帰らなければならない。 そのためにも、今レリックを持っている相手との戦闘に巻き込むことはできなかった。 だから、病院に集まるであろう姉妹にルーテシアを預ける。必然的に、朝までの集合の約束を守ることもできる。 「うん、分かった」 ゆっくりとルーテシアが首を縦に振ったことで、この場の協力関係は確定した。 ルーテシア、ユーノ、チンク、明日香。以上3名と1匹(厳密には4名)で病院を目指す。 「じゃあ、行きましょうか」 女性陣の中でも最年長と思われる明日香が、率先して先へと進む。 一方、ルーテシアの胸に抱えられたユーノはというと、何やら難しそうな表情を浮かべていた。 どうにも引っかかるのだ。ルーテシアの反応が。 (さっきの、レリックって言葉を聞いた時……この子の目の色が変わった) 今までぼんやりとしていた彼女の赤い瞳に、ほんの少しだけ感情が見えた。鋭さが増した。 そのレリックという何かに対して、彼女が強い執着を見せたのだ。 つまりそれは元々ルーテシアにとって、とても重要な意味を持つものであったのだろう。 ではそのレリックというのは、一体何なのだろうか。 ルーテシアが求めていたもの。それでいて、この殺し合いからの脱出さえも可能とするもの。 であればその力を、彼女は一体何のために使おうとしているのだろう。レリックの確保とはあくまで手段であり、目的ではないはずだ。 一体彼女は―― 「うわっ!?」 瞬間、ぐらり、と。 身体が揺れた。ユーノだけではない。ルーテシアの身体も。 すとんと足場の高度が落ち、衣服の隙間からフェレットの身体が落下する。 足並みをチンク達と合わせるべく、ルーテシアがマッハキャリバーを解除したのだろう。 結果、ローラーの分の身長が縮まり、それによって振動が生じたのだ。 それによって地面に投げ出されたユーノは、そのままチンクの足元へと落下する。 「いてて……」 小さな呻きを漏らしながら、毛皮についた土埃をふるふると払った。 そして、視線を戻す。 ちょうどその先にはチンクの身体。衣服の裾から覗くもの。 そこにあったのは、 「――ッッッ!!?」 「……そういえば、貴方……下着つけてなかったわね」 きょとんとしたチンクと動揺するユーノを見て、明日香がため息をついた。 【1日目 早朝】 【現在地 E-9】 【ユーノ・スクライア@L change the world after story】 【状態】健康、幸せ?、混乱、フェレットに変身中 【装備】なし 【道具】なし 【思考】 基本 なのはの支えになる、ジュエルシードの回収 1.ルーテシア、チンク、明日香と共に病院を目指す 2.ルーテシアの保護 3.くぁwせdrftgyふじこ!? 4.Lや仲間との合流 5.首輪の解除 【備考】 ※JS事件に関連したことは何も知りません ※プレシアの存在に少し疑問を持っています ※ルーテシアがマフィアや極道の娘だと思っています 【ルーテシア・アルピーノ@魔法少女リリカルなのはStrikerS】 【状態】健康 【装備】バニースーツ@魔法少女リリカルなのはStrikers-砂塵の鎖― 、マッハキャリバー(待機形態)@魔法少女リリカルなのはStrikerS シェルコート@魔法少女リリカルなのはStrikerS 【道具】支給品一式×2、ジュエルシード@魔法少女リリカルなのは、バリアのマテリア@魔法少女リリカルなのはStrikerS 片翼の天使、夜天の書@魔法少女リリカルなのはStrikerS 【思考】 基本 ナンバーⅩⅠのレリックの捜索 1.ユーノ、チンク、明日香と共に病院を目指す 2.仲間との合流 3.ジュエルシードの回収を手伝う 【備考】 ※参戦時期はゆりかご決戦前です ※ユーノが人間であることを知りません ※殺し合いに全く興味がありません 【天上院明日香@リリカル遊戯王GX】 【状態】健康 【装備】ガオーブレス@フェレットゾンダー出現! 【道具】支給品一式、ラオウの兜@ティアナが世紀末にやって来たようです、 トバルカインのトランプ@NANOSING、ゾナハカプセル@なのは×錬金 【思考】 基本 殺し合いには乗らない。仲間達と合流し、プレシアを打倒する。 1.ユーノ、ルーテシア、チンクと共に病院を目指す 2.チンクっていうこの子は……信用し切れない 3.チンクとは協力するけど、何があっても対応出来る様に隙は見せない様にしよう 4.ゾナハ……って何? 5.全くもう、この子は…… 【備考】 ※転移魔法が制限されている可能性に気付きました ※万丈目にバクラが取り憑いている事を知りません ※チンクの「万丈目に襲われた」という情報は、嘘か誤りだと思っています ※ガオーブレスのギャレオンを呼び出す機能は封印されています ※トバルカインのトランプが武器として使えることに気付いていません 【チンク@魔法少女リリカルなのはStrikerS】 【状態】健康 【装備】被験者服@魔法少女リリカルなのはStrikerS 【道具】支給品一式、ガジェットドローンⅠ型@魔法少女リリカルなのはStrikerS、工具セット@オリジナル、 料理セット@オリジナル、翠屋のシュークリーム@魔法少女リリカルなのはA s 【思考】 基本 姉妹と一緒に元の世界に帰る 1.ユーノ、ルーテシア、明日香を伴い、病院に向かって医療品を集め、姉妹との合流を図る 2.姉妹と合流した後に、レリックを持っている人間を追う 3.姉妹に危険が及ぶ存在の排除、及び聖王の器と“聖王のゆりかご”の確保 4.こいつ、獣のくせして何を驚いてるんだ? 5.クアットロと合流し、制限の確認、出来れば首輪の解除 5.Fの遺産とタイプ・ゼロの捕獲 6.天上院を手駒とする 【備考】 ※制限に気付きました ※高町なのは(A s)がクローンであると認識しました ※この会場にフェイト、八神はやてのクローンがいると認識しました ※ベルデに変身した万丈目(バクラ)を危険と認識しました 【チーム:ユーノとハーレム】 【共通思考】 基本 仲間達を集め、聖王のゆりかごで殺し合いから脱出を図る 1.病院に向かい、クアットロ、ディエチと合流する 2.その後は戦闘可能な面々でヴィヴィオとレリックを探す 【備考】 ※それぞれが違う世界から呼ばれたということに気づいていません。 Back やわらかな温もりに瞳閉じ 時系列順で読む Next 戦いの嵐、再びなん? Back やわらかな温もりに瞳閉じ 投下順で読む Next 敵か味方か? Back 遠い声、遠い出会い ユーノ・スクライア Next Reconquista(前編) Back 遠い声、遠い出会い ルーテシア・アルピーノ Next Reconquista(前編) Back されど嘘吐きは救済を望む(後編) チンク Next Reconquista(前編) Back されど嘘吐きは救済を望む(後編) 天上院明日香 Next Reconquista(前編)
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此処はミッドチルダに点在する隊舎内、其処にナンバーズの一人であるセインが存在していた。 彼女はこの隊舎を破壊する為に赴いており、部屋の隅や柱、壁などに時限式の爆弾を仕掛け、 最後の爆弾を設置する為にディープダイバーを用いて隣の部屋へと侵入する。 「これで…さ~いご!」 セインは最後の爆弾を仕掛け終えその場から立ち去ろうとした瞬間、後ろから制止を促す声が聞こえ、 振り向くと其処には教会騎士団のシャッハが身構えていた。 リリカルプロファイル 第三十四話 約束 「魔導師!?いや騎士か!」 「大人しく縛につきなさい!」 しかしシャッハの制止を無視して逃げようとしたところ、シャッハはヴィンデルシャフトを起動、 攻撃を仕掛けセインを壁まで追い詰めると、再度警告を促す。 「ここまでよ、大人しくしなさい」 「それは、どうかな~?」 次の瞬間、セインはディープダイバーを起動させて壁をすり抜ける、 それを見たシャッハは驚く表情を浮かべるが、直ぐに真剣な面持ちとなり、 全身を魔力で覆うと、セインと同様に壁をすり抜けた。 一方壁をすり抜け隣の部屋に逃げ込んだセインはそのまま立ち去ろうとしたが、 後方から先程まで対峙していた人物の声が聞こえ、 驚きの表情を浮かべたまま振り向くと、壁からシャッハが姿を現していた。 「私と同じ能力?!」 「さあ!観念しなさい!!」 そう言うとシャッハのヴィンデルシャフトのカートリッジを一発消費、刀身を魔力で覆いセインに襲い掛かる。 だがセインは体に対消滅バリアを張り、左手でシャッハの攻撃を受け止めると、 続けて右手を握り締め拳を作りシャッハの頭部を狙う、だがシャッハは上半身を仰け反るようにして攻撃を回避した。 しかしセインは続け様に左のジャブを三発、右のフック、左のハイキックを繰り出すが、 そのこと如くが回避されてしまい、苦虫を噛む表情を浮かべるセイン。 一方でシャッハはセインの攻撃力に対し一般的な魔導師や騎士では一撃でやられてしまうだろうと高評価をしていた。 だが動きは荒削りで付け焼き刃的な印象を感じ、シャッハの相手としては些か物足りない相手であった。 そしてこの程度の相手にこれ以上時間をかける訳にはいかないと考えたシャッハは、 カートリッジを二発消費、二本の刀身に先程以上の魔力を乗せると、床を踏み抜く。 「烈風一迅!!」 そして素早くすり抜けるようにしてセインを切り抜け、セインはなす統べなく前のめりに倒れていく、 しかしシャッハの攻撃は非殺傷設定を設けてある為に命に別状無く、 素早くバインドを掛けると仲間と連絡を取り、セインを引き渡すのであった。 一方此処はゆりかご内に存在するスカリエッティのラボ、周囲には生体ポットに保存された検体が並ぶ中、 メガーヌが入った生体ポットの前には、瞳を閉じ肩にアギトを乗せて佇むゼストを発見したアリューゼ。 するとアリューゼの存在に気が付いたのか、ゼストはゆっくりと瞳を開け、アリューゼを見つめていると、 アリューゼはゆっくりと、まるで言葉を選ぶかのように話し始める。 「ゼスト…隊長」 「………かつての部下か?」 「まさか“覚えて”んのか?」 「いや…“聞いた”だけだ」 自分には昔部下がいたという事を聞いた事があるだけであると応え、 アリューゼは静かに佇み暫くすると、ズボンから一つの結晶体を取り出す。 「それは?」 「今のアンタに“必要”なモノだ」 これを届ける為に此処まで来たと告げると、ご苦労な事だと言いながら笑みを浮かべるゼスト。 するとゼストの肩に乗っかっているアギトが信用出来ないと騒ぎ立てるが、ゼストは小さく頭を横に振り、 アギトを黙らせ、そしてアリューゼが手に持つ結晶体に目を向け、何か引かれるものを感じ受け取ると、 ゼストの額から赤い呪印が姿を現し手に取った結晶体が浮き始め、 目の前でまるで解凍されるかのようにして光り輝く球体となり、ゼストに吸い込まれ赤い呪印が消える。 そして暫く辺りは静寂が包み込むと、ゼストはゆっくりと言葉を口にし始めた。 「……久し振りだな、アリューゼ」 「隊長!記憶を!!」 アリューゼの問い掛けに頷き静かに答えアギトは目を丸くする中、ゼストはアギトに目を向け微笑む。 それはつまり昔のゼストの記憶と今のゼストの記憶、両方を持っている事を意味し、 人が変わった訳では無いと知ったアギトは嬉しそうにゼストの周りの飛び回り、 アリューゼもまた嬉しそうな表情を見せるが、直ぐに一変する。 何故ならばゼストの左肩がまるで爆発でもしたかのように飛び散り、血が滴れ落ちたのだ。 「やはり…もう限界か……」 「どういう事だよ!隊長!!」 元々ゼストの肉体はレザードによって損傷していた、だがそれをスカリエッティの手によって修復された。 だがそれだけではなくレリックとリンカーコアの強制接続により肉体を強化させたのだが、 その代償に肉体の劣化が早く進行する事になり、更に今回の戦いにより肉体の劣化は限界に達し、 いよいよ肉体の崩壊が始まったのだと、左肩を押さえながらゼストは語る。 「クソッ!そんなのアリなのかよ!!」 「……アリューゼ、構えろ」 アリューゼが悔しがる表情を見せている中、ゼストはデバイスを起動させると徐に構え始める。 ゼストの肉体は死を待つだけの状態である、ならばと最後にアリューゼとの模擬戦を望んでいた。 だがそれだけではない、たとえ本人の意思では無いとしても今回の事件に加担した、 その罪は償わなければならない、故にゼストはアリューゼと対峙する事にしたのだ。 するとゼストの意志を汲んだアリューゼはデバイスを起動、バハムートティアを肩に構え大きく間を取り始める。 そして静かに構えている中でアギトは立会人として二人の間に立ち、ジッと身構えていた。 暫く静寂が包み込み、二人は集中力を高め呼吸を合わせ始める、 そしてお互いの呼吸が合わさった瞬間、カートリッジを一発ロード、 ゼストが飛び出すようにアリューゼに迫り槍を振り上げる中、アリューゼはゼストに背を向けるほどまでに振りかぶっていた。 『うおおおおおおお!!!』 互いの気合いがこもった叫び声が重なり合いゼストは槍を振り下ろし、アリューゼもまた叩き斬るようにして振り下ろした。 そして互いの位置が反転すると、アリューゼの左肩から血が吹き出す、 一方ゼストは槍を二つに断ち切られ胸元に深い傷を与えていた。 デッドエンド、相手に背を向ける程までに振りかぶり一気に振り抜く、 アリューゼが扱う技の中で最も扱いが難しく、また最も威力のある技である。 「旦那ぁ!!」 立会人であるアギトがいても立ってもいられず駆け寄ろうとしたが、 ゼストは左手を向けて制止を促すと、振り向き右拳を握り殴りかかる。 するとアリューゼはバハムートティアを肩に構えながら振り向きカートリッジを二発消費、 刀身は熱せられたかのように真っ赤に染まると刀身をゼストに向けて突撃、 ゼストの身を貫くと大きく振り上げ、ゼストは爆炎に飲み込まれた。 そして辺りはファイナリティブラストによって燃え盛っていた炎が落ち着きを見せていく中、炎の中央では体に火が付いたゼストが佇み、 アリューゼに小声で「強くなったな…」と述べると、ゼストの姿を発見したアギトは泣きじゃくりながら駆け寄る。 「旦那!今炎を――」 「いや、このままでいい……」 既に肉体は死に絶え後は醜く崩壊を待つのみ、それを知ったアリューゼは、 ゼストに対しせめての手向けとして火葬を行ってくれたのだと、 アリューゼの計らいに感謝する気持ちで応え、右の人差し指でアギトの涙を拭き取る。 「だから泣くな、それに…お前が望む使い手に出会えたのだ」 「旦那……」 アギトの能力である炎変換資質はアリューゼの技と相性も良いし彼なら良く扱ってくれるであろうと語り、 ゼストの言葉に口を紡ぎながら涙をまた浮かべ、ゼストは小さく笑みを浮かべると、今度はアリューゼに目を向け言葉を口にする。 「アリューゼ…メガーヌを頼んだぞ!!」 ゼストの最後の言葉にアリューゼは小さく頷くと、安心したのか微笑みを浮かべ、 炎が顔まで覆い全身を包み隠すと、まるで消えるようにしてゼストは燃え尽きていった。 …そしてアギトは大声で泣きじゃくり辺りに響いていく中、 アリューゼはアギトに目を向け静かに…問い掛けるかの様に言葉を口に始める。 「…お前はどうする気だ?」 「…ヒック…旦那の…最…後の望み…なんだ……だから!!」 「…そうか」 アギトは右腕で涙を拭い決意ある瞳で答えると、アリューゼはメガーヌの入った生体ポットを見上げる、 …生体ポットの中にいるメガーヌは心無しか悲しそうな表情を浮かべているように思えた。 場所は変わり此処は聖王教会付近に存在する森の上空、 其処ではなのはとヴィヴィオが熾烈な争いを繰り広げられていた。 なのはは既にブラスター1を起動させており、ヴィヴィオもまたレリックの一つを起動させている状況であった。 その中でヴィヴィオは先ず五発の虹色のディバインシューターを作り出し、 なのはに向けて螺旋を描く軌道で撃ち抜くが、なのはは縫うようにして回避、 更に体を右回転させながらアクセルシューターを五発ヴィヴィオに向けて撃ち抜く。 しかしヴィヴィオは臆する事無くアクセルシューターを身に覆った虹色の膜で次々に弾いていきなのはに押し迫る、 聖王の鎧、古代ベルカの王が持つ遺伝子レベルに所有する防衛能力で、攻撃・防御共に高い効果を持つ資質である。 そしてヴィヴィオは左手を握り締め拳を作ると真っ直ぐなのは目掛けて振り下ろす、 だが、なのははアクセルフィンを全開にして後方へ移動、ヴィヴィオの攻撃を回避した。 だがヴィヴィオは右手をなのはに向けると手には虹色の魔力球が握られており、加速しているように見えた、 そして右手に二つの環状の魔法陣と足下に円状の魔法陣を張ると――― 「ディバイン…バスタァ!!」 ヴィヴィオは虹色のディバインバスターを撃ち放ち、なのはに迫る中すぐさまレイジングハートを向けてショートバスターを撃ち抜く、 だが威力が違う為見る見るうちに圧されていくがカートリッジを一発ロード、 威力を高めディバインバスターと変わらぬ威力にてヴィヴィオのディバインバスターを相殺して終わる。 先程放たれたディバインシューターに今のディバインバスター、 本来ベルカの人間は接近に特化した者が多く、射撃系は牽制程度が殆どなのであるが、 ヴィヴィオの放った魔法は十分な威力を誇っていた。 恐らくヴィヴィオは資質として魔力の射出・放出を持っているのであろう、 だがそれだけでは無くベルカ本来の接近にも十分順応しているとみるなのは。 そしてヴィヴィオの能力の分析終えたなのはは本来の目的である説得を促す。 「ヴィヴィオ聞いて!ベルカは対話による道を選んだ!もう争う事なんて無いんだよ!!」 「戦わぬベルカなどベルカではない!そしてあんなものを融和と呼べるものか!!」 元々ベルカは戦い勝ち取る事で強く、また大きくなっていった、言うなればそれが矜持、 それを忘れてただ相手の望むまま思うがままの行動をとるなどと融和とは呼べない、 そんなものはただの植民地支配に過ぎないと力強く答える。 「それもこれも今のベルカには王がいないからだ!だからこの私が生まれたのだ!!」 そして生まれたからには自分の使命を逐わなければならない、 ヴィヴィオの使命、それは即ちベルカの威光を復活させる事、その為ならば自らを兵器になる事すら厭わない、 そう語るとヴィヴィオは右拳を握り締めなのはに殴りかかるが、 なのははプロテクションを張り防ぐと、続け様に何度も叩き付け始め今度はなのはが言葉を口にする。 「違う!ベルカは敗戦後自分達の考えを改めた!その結果が今のベルカなんだよ!!」 誰かに強要されたわけでも無く、ましてやミッドチルダに支配されていた訳でもない、 敗戦後生き残ったベルカの人々が自ら考え選んだ道であり、ミッドの人々もそれを受け入れた、 その結果、強力な指導者が必要としなくなり、聖王もまた、 宗教的な意味合いとなったのだろうと応えると、ヴィヴィオは震えるようにして言葉を口に出す。 「ならば…私は何の為に生まれてきたのだ!!」 そして両拳に雷を纏わせ合わせると地上に向けて一気に振り下ろし、 なのはのプロテクションを破壊、一気に地上に叩きつけた。 プラズマアームと呼ばれるバリア破壊効果を持つ雷を拳に纏わせて攻撃する近接魔法である。 だがなのはがゆっくりと立ち上がり森の中に身を隠すとカートリッジを二発消費、ヴィヴィオ目掛けて次々とアクセルシューターを撃ち抜く。 一方ヴィヴィオの目線では、なのはの姿が見受けられず森の中から続々とアクセルシューターが襲いかかり、 聖王の鎧にて攻撃を防いでいく中、左手に巨大な魔力球を作り出し、森の中へと投げ込む、 そして魔力球が森の木々に触れた瞬間、一気に拡散し無数の虹色の魔力弾が辺りの木々を次々に薙ぎ倒していった。 セイクリッドクラスター、対象に接触もしくは目前で爆散し、小型の魔力弾を広範囲に渡ってばらまく圧縮魔力弾である、 しかもヴィヴィオの魔力と資質によって小型の魔力弾も相当な威力を誇っているのである。 「…いないか」 セイクリッドクラスターが撃ち込まれた場所は木々が薙倒れ大きく円を描いており、 今度は他の場所に左手を向けてセイクリッドクラスターを次々に撃ち込んでいく、 その頃なのはは森の中で木々が倒されていく事に警戒し、 上空を見上げるとヴィヴィオの周りにセイクリッドクラスターが五発用意されている事に気が付く。 「ならば!この森ごと葬ってくれる!!」 次の瞬間五発のセイクリッドクラスターはある程度の距離を置いて撃ち放たれ、 森の目前で次々に爆散、無数の魔力弾が驟雨の如く迫ってきていた。 それを目撃したなのははオーバルプロテクションを張り攻撃に備えると、 無数の魔力弾は次々に木々を薙ぎ倒し、辺りは見通しがよい風景へと変貌する。 ヴィヴィオはその風景を目を凝らして見つめなのはの姿を探していると、 倒れいる木々の中から桜色の防御壁に守られたなのはが上空へと向かっていくのを発見、 するとヴィヴィオはソニックムーブを用いて押し迫ると左のプラズマアームで防御壁を破壊し、 更に右手をなのはに向け拳から直射砲を撃ち抜く、 インパクトキャノン、近接戦闘における砲撃で、射撃系魔導師にとって重宝する魔法である。 そしてインパクトキャノンを撃ち抜いたヴィヴィオはその先を見つめると、 其処にはなのはが矛先を向けており、その姿にヴィヴィオは警戒していると、 なのははブラスター2を起動、更にA.C.Sドライバーを発動させて一気に加速、 ヴィヴィオに突撃するがヴィヴィオの聖王の鎧が自動的に発動、なのはの攻撃を受け止める。 だがなのはは臆する事無く突撃を続け、先端部分から魔力素が火花のように散り聖王の鎧にひびが入ると、 すかさずカートリッジを三発消費、すると先端部分の魔力刃が強く輝き出す。 「エクセリオン!バスタァァァ!!」 なのはの叫びと共にエクセリオンバスターは撃ち放たれヴィヴィオは飲み込まれていき、 撃ち放った先を見つめると、エクセリオンバスターを耐え抜いたヴィヴィオの姿があり、 その足下にはミッド式の魔法陣が張り巡らせ、右手をなのはに向けると、虹色の魔力が流星のように集い始める。 「まさか!それは収束砲!!」 「自分の技をその身に受けるが良い!スターライトブレイカァァァ!!」 そう叫ぶと虹色のスターライトブレイカーが撃ち放たれ、なのははラウンドシールドを張り攻撃に備えた。 だがスターライトブレイカーの威力は、なのはの想像よりも高く、 徐々に圧されていきラウンドシールドにひびが入り砕けると、そのまま飲み込まれていった。 そして暫く辺りを静寂が包み込む中、撃ち抜かれた後にはなのはの姿が現れる。 収束砲の使用は流石になのはも驚きの表情を隠せないでいた、 何故ならヴィヴィオが使用した収束砲はなのはのそれと全く同じ技術を用いられていたからである。 おそらくはホテル・アグスタ戦並びに地上本部戦の際に使用したなのはの収束砲を、 レザードもしくはスカリエッティが解析し、その後ヴィヴィオにもたらしたのだと思える。 …それは奇しくもなのはの技術がヴィヴィオに母から子へと引き継がれた事を意味していた。 そして収束砲を受けたなのはは、まるで疲れ切った表情を浮かべていると不敵な笑みを浮かべるヴィヴィオ。 「少し…オイタが過ぎるんじゃないかな?ヴィヴィオ」 「……この期に及んで、まだ母親面をするつもりか!」 自分とは血が繋がってはおらず、既に親子関係すら絶たれている、その事をいい加減理解しろ! …とヴィヴィオは睨みつけながら語るが、なのはは大きく首を振り強く否定する。 なのはと兄恭也そして姉美由希とは血が繋がってはいない、 だがそれでも家族として暮らしていた、血の繋がりが重要なのではない。 一緒に笑い合い泣き合い、時には叱られたり喧嘩したり、 心を許せる存在、それが家族であり仲間であると力強く言葉を口にする。 「ヴィヴィオ!本当の望みはいったい何なの!!」 「わっ私の望みはベルカの復興―――」 「違う!聖王としてじゃなくヴィヴィオ“本人”の望みだよ!!」 聖王とはあくまで役目・役職、個人を指し示すものでは無い、 故にヴィヴィオの本当の望みは違うと考えていたなのはは強く問い掛ける、 するとヴィヴィオの中で何かが砕け散った音が響き、俯き暫く静寂に包まれると、静かに言葉を口にする。 「私の本当の望みは………な――」 ヴィヴィオが自分の想いを告げようとした瞬間、両手で頭を押さえ苦しむ表情を見せると、 体から大量の虹色の魔力が放出、その勢いと輝きになのはは右手で光を遮りながら目を凝らしていると、 額に赤い呪印が浮かび上がり胸元からレリックが二つ現れ、レリックには赤い五亡星の陣が刻まれていた。 ヴィヴィオのリンカーコアには王の印であるレリックを二つ繋がれていたのである。 するとレリックはヴィヴィオの両手袋に備え付けてある結晶体に取り込まれ、 結晶体に五亡星が浮かび上がると両腕から虹色の魔力が放出し体を纏うと、 瞳から光が消え険しい表情のままヴィヴィオはなのはを睨みつけていた。 なのははその変貌に戸惑っていると、ヴィヴィオはソニックムーブを発動、 一瞬にしてなのはの懐に入ると左拳が鳩尾に突き刺さり、引き抜くと同時に左に一回転、 左の肘が脇腹を突き刺し、よろめきながらなのはが一歩下がると右のアッパーがなのはの顎に突き刺さる。 そして上空に跳ねられると左拳を胸に叩きつけそのまま縦に一回転すると同じ場所に右の踵落としを叩き込み、 なのはは勢い良く地上に激突、その衝撃は木々をへし折り地面に大きなクレーターを作り出した。 だがなのはは立ち上がりクレーターの中央でA.C.Sドライバーを起動、一気に加速して突撃するが、 ヴィヴィオは左手に虹色の魔力を纏い、なのはの魔力刃が聖王の鎧に接触する瞬間を見計らって弾くと、 そのままの勢いを利用して左回転からの右の肘打ちを叩き込もうとしたが、 全方向性のオーバルプロテクションを張っていたようで攻撃を防がれる。 ところがヴィヴィオは左の魔力を雷に変えプラズマアームを発動させると、躊躇無く振り抜きバリアを破壊、拳が背中に突き刺さる。 だが攻撃はまだ終わらず右拳からインパクトキャノンを撃ち出し、飲み込まれながら吹き飛ばされるが、 なのははブラスター3を起動、それによって生み出された魔力を使ってインパクトキャノンをかき消した。 「……ヴィヴィオ」 今までのヴィヴィオとは全く異なる、まるで機械のような無慈悲で正確な動き、 それは表情を一切変えない事でまるで兵器を相手にしている印象を強く感じ、 なのはは戸惑う様子を見せるが、已然としてヴィヴィオは険しい表情のままなのはを睨みつけていた。 するとヴィヴィオの瞳から一筋の涙が流れ落ちる、その涙はまるでヴィヴィオの抵抗にも見えていた。 ヴィヴィオは助けを求めている、そう感じたなのはは決意を秘めた瞳で応える。 「助けるよ……何時だって…どんな時だって!!」 そしてなのははカートリッジを全て消費、レイジングハートをヴィヴィオに向け更に囲うように四基のブラスタービットを設置して魔法陣を張ると、 ヴィヴィオもまた両手で四カ所かざし魔法陣を張り、最後に真っ正面に大きな魔法陣を張ると両手を水平に構える。 すると両者の魔法陣に魔力素が流星のように集まり出し、五つの収束砲を作り出すと、なのははレイジングハートを振り上げた。 「全力!全開!!スターライト…ブレイカァァァァ!!!」 なのはの叫びと共にレイジングハートを振り下ろし、ヴィヴィオは両手を合わせて向けると両者のスターライトブレイカーが撃ち放たれ、 辺りを桜色と虹色の魔力光で照らし、魔力素が火花のように散りながら収束砲はぶつかり合っていた。 その中で足を踏ん張り堪えている両者、その衝撃はまるで台風をその身で浴びるように強力で必死な形相で耐え抜いた。 両者のスターライトブレイカーの威力は互角な状態、膠着状態が暫く続き、なのはの額には汗が浮かび上がり、 それでも尚、ヴィヴィオを助ける為に撃ち続けていた。 今度こそ助ける、あの時…地上本部の時に約束した事を今こそ果たす為に… だが徐々になのはのスターライトブレイカーが押され始める、 今のヴィヴィオには自分の意志とは関係無く、両手に繋がれているレリックのエネルギーを、 直接引き出し魔力に変えて撃ち抜いているのである。 それを可能にしているのが額に浮かび上がった呪印で、ルーンの一つでありヴィヴィオの変貌もまたこの呪印が原因なのであるのだが、 不死者などに刻まれているルーンとは異なりある行動をとると、それをきっかけにルーンは発動、 対象の行動を支配・制御し、また思考を停止させて敵対象を殲滅する為の兵器へと変貌させる呪印なのである。 この呪印を施したのは勿論レザード、彼はもしも洗脳が解けた場合に備えて保険として施したのである。 つまりこの呪印とレリックを破壊すればヴィヴィオは元通りなるという事でもあった。 だが兵器と化したヴィヴィオはなのはですら押されてしまう程の実力を持ち、 スターライトブレイカーも徐々にだが、確実になのはが押され始めていた。 「くぅ!……後もう少し…もう少しで助けられるのに!!」 カートリッジは既に消費済み、懐には予備のカートリッジが存在しているが今から交換する事も出来ない… というより余裕が無いのだ、それ程までになのはは切羽詰まっていたのである。 たがなのははこの状況にも関わらず希望を捨ててはおらず、不屈の心は折れてはいなかった、 するとなのはの腰に備え付けてあるミリオンテラーがなのはの意志に呼応するように輝き出し、 白銀の魔力がなのはの体を包み込むと、今まであった負担が一気に軽くなりリンカーコアも活性しているのを感じていた。 「これは!?助けてくれるの?」 突然の助太刀に驚くも感謝を浮かべ、力強く正面を向く、 今の状態ならイケる…そう確信したなのはは力強く叫んだ。 「ブレイクゥゥ…シュウゥゥゥゥゥトッ!!!」 次の瞬間、体を纏っていた白銀の魔力がスターライトブレイカーに混ざり合い螺旋の模様を描きながら、 ヴィヴィオのスターライトブレイカーに激突、見る見るうちに押し返していき、とうとう撃ち破った。 そしてヴィヴィオの体は飲み込まれていくと、額の呪印がまるで風化するようにして消滅、 すると両手に取り込まれていたレリックが現れ、ひびが入ると砕け爆発した。 そして撃ち終えたなのはは肩で息をしながら目先に向けると、 其処には少女の姿に戻ったヴィヴィオがおり、体には聖王の鎧が纏っていた。 どうやらレリックの爆発に反応して発動したらしく、ヴィヴィオの体は奇跡的に無事なようである。 するとヴィヴィオの体に纏っていた聖王の鎧がゆっくりと消えていき落下し始めた。 「ヴィヴィオ!!」 なのははすぐさまヴィヴィオの元へ駆け寄り、ヴィヴィオの体を抱き抱え地上に降りると、 その温もりに気が付いたのかヴィヴィオは意識を取り戻す。 「……なのはママ」 「…ヴィヴィオ!無事だったんだね!」 なのははヴィヴィオの無事な姿に力強く抱き締め大粒の涙を零す、 するとヴィヴィオは今までの恐怖から解放された為か、 それともなのはに抱かれ安心したのか大粒の涙を零しながら、なのはに抱きつく。 「…ごめ…んな゛…さい……な゛の゛は…マ゛マ」 「もう…大丈夫だから……もう…安心していいんだよヴィヴィオ…」 ヴィヴィオは泣きじゃくりながら何度も謝り、そんなヴィヴィオの姿を優しく抱き締め受け止めるなのはであった…… 前へ 目次へ 次へ
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魔法戦記リリカルなのはForceNEXT Design07 「リリカルなのは」最新シリーズのダブルヒロイン、アイシス。彼女は、既存のどれとも似ていない装備を、突然身にまとった―― アイシス・イーグレット×アーマージャケット パフュームグラブ パフュームグラブ アイシス自作の「コンバットギア」。手首の先に装備されたバルーンから、粉塵や気化液を放出するための装備。 4つのバルーンにはそれぞれに異なった内容物を収めることが可能で、内容物の散布の際には、 範囲や指向性をある程度調整する機能も備えている。 駆動システムには燃料電池を採用しており、魔力阻害状況下においても問題なく機能を発揮する。 アーマージャケット パフュームグラブ・アマージャケットの双方に搭載されている「燃料電池による魔力近似のエネルギー発生」を行うユニットは、 アイシスがとあるルートで入手したもので、このジャケットもその機能を生かし、 アイシスが自身の「望む活動」を充分に行えるように調整した装備。 防護服としての機能のほか、もとより強力なアイシスの身体能力をさらに高める「強化服」としての機能が重視されている。 アーマージャケット パフュームグラブ設定原画 パフュームグラブ グラブというか、もはや手甲ですが… エアインテイク カートリッジ回ってます 排気ダクトカートリッジ使用時の排気に使います バルーンまだ大きければ、小さくしていただいて構いませんので!! クッション素材※腕への装着部分の裏側に使われている。 アイシス アーマージャケット ※胸部と腰部の薄い服だけ、腕はスカスカの手甲と長手袋だけで肩当てもなく、腹部も脚部も丸出しの上、装甲と言える部分は皆無に近い。 くの一的な雰囲気・シルエットを狙ってみました。 右手は短いグローブです。 表面には宝玉がはまってます※腰に付いてるスカートのヒラヒラ部分。 このヒモは腕にまいたり、たなびかせたりと色々表情付けるのに使ってください。※右手のグローブに付いてる長いリボン状の紐 アンダーは結構エッチな感じ(笑) この部分のジョイントにアーマーを接続します。※腰の部分です。 パンツ・ベルトは元のものを流用します。 スカートはふんわり
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―――汝は己が乗り越えねばならぬ壁の高さに怯え竦みし弱き者か?――― ―――それとも己が乗り越えねばならぬ壁の高さに怯えず立ち向かう強き者か?――― ―――さあ、汝の強さを見せてみよ!――― リリカルプロファイル 第二十六話 四層 はやて達の活躍により見事に第三層を突破した一同は順調に進み第四層の試練場へと辿り着くと、暫く滞在していた。 第四層…此処を突破すればいよいよ神の領域に辿り着く事が出来る… するとなのはの下にフェイトが駆け寄り話し始める、フェイトは次の試練は間違いなく自分達の番であると。 だがなのはの様態は未だに思わしくない為、ブラスターシステムを使用しないで欲しいと注意を促す。 するといつもの笑みを浮かべ快く了承なのは、しかしなのはの性格を知っているフェイトはその笑みに 深い溜息を吐くと二人の体が光に包まれ始め、試練が始まる印象を感じていた。 「やっぱり最後は私達か……」 「少し…緊張するね」 珍しく緊張をしている二人に対し、一同は激励を込めると少し解れたのか笑みを浮かべ、 二人は転送され、それを見守り無事を願う一同であった。 …フェイトが跳ばされた場所は金色に輝く空間で、辺りを見渡すと奥に続く下り道があり、 皆が話していたのと同じ造りに納得していながらも、道なりに進み広場へと赴く。 広場の中央には黒いウェーブがかかった長髪に黒いローブを纏った女性が後ろを向いて佇んでいる。 その姿に思わず息を飲むフェイト、其処には彼女が緊張する程の人物が立っていたのだ。 「まさか!何故アナタが!!」 「あら?どんな奴が相手なのかと思ったら、かつて私が作った“人形”じゃない」 そう言ってフェイトを“人形”扱いする人物、プレシア・テスタロッサその人である。 彼女はフェイトの生みの親で十年前のジュエルシード事件の張本人でもあり、 時の庭園の崩落の際、愛娘であるアリシアの遺体と共に虚数空間に飲み込まれたハズであった。 しかしプレシアは虚数空間の中を漂っていると、流浪の双神に拾われアリシアと共に此処で生活兼アルハザードへの研究をしていたところ、 神から一つの案が提示される。 その内容は今から転送される人物を倒せば、プレシアの念願でもあるアルハザードへの道を開いてくれるというものであった。 「だから…大人しく倒されなさい、操り糸が切れた“人形”のように…」 「アナタはまだ!そんな幻想を!!」 フェイトはプレシアに吐き捨てるかのように言葉を口にするが、さも当然のような口振りを見せるプレシア。 元々フェイトはアリシアの“代用品”として造られた存在、それが全てである。 使えなくなった“人形”はただ捨てられるだけ…しかし今回は“いらない人形”を捨てさえすれば 自分が欲しかった物が手に入る為、価値のある廃棄だと笑みを浮かべ語る。 「初めて私の役に立つのだからサッサと倒されて頂戴」 そう言って蔑むような目線を見せると、フェイトは怒りとも悲しみとも取れる表情を醸し出していた。 …プレシアは十年たった今でも一切変わってはいなかった、愛娘に対する愛情も…自分に対する憎しみも…アルハザードに対する縋るような想いさえも… だが自分は十年前とは違う…一緒に過ごしてきた仲間や友、そして自分を拠り所としてくれる二人… それら十年の経験を無碍にするようなプレシアの態度と言葉にフェイトはバルディッシュを起動させ強い眼差しで見つめる。 「残念ですが、もう私はアナタの“人形”ではありません、此方にも負けられない理由があるのです!」 「そう……やはり欠陥品は欠陥品のままね…」 そう言うと懐から一つの柄を取り出す、するとその柄の先から金色の細長い鞭が姿を現し、鞭からは稲光が走っていた。 ライトニングエッジ、魔力鞭で構成され剣にも変化する攻・防・縛の三種に対応した管理局時代から使っている愛用のデバイスである。 「だったら…実力でねじ伏せるしかないわね」 そう言うや否や魔力鞭を二回程床を叩き、魔力鞭をフェイトに向けうねりながら伸ばすと、 フェイトはハーケンモードに切り替え魔力刃にてプレシアの攻撃を防ぐ、 するとプレシアは大きく円を描く動作を行い、魔力鞭がうねりをあげバルディッシュごとフェイトを縛り付けた。 そしてプレシアは床にフェイトを叩き付け更には左右の柵、床を削るように振り回し遠心力が掛かったところで縛を外し上空へと吹き飛ばした。 しかしフェイトは空中で体勢を立て直し更に急降下、床ギリギリまで降りると這うようにプレシアの下へ向かう。 するとプレシアは迎撃の為にフォトンランサーを展開、槍の形をした無数の魔力弾が雨のようにフェイトに襲いかかる。 その中を縫うようにして迫るフェイト、そしてフォトンランサーの群を抜けるとソニックムーブにてプレシアの背後を捉え、一気に振り抜く。 しかし既にフェイトの動きを予測していたプレシアはフェイトの動きに合わせ左手をかざすとサンダースマッシャーを撃ち抜きフェイトを飲み込んだ。 だが跡地にはディフェンサーを展開させているフェイトの姿があった、飲み込まれる直前にバルディッシュがディフェンサーを展開させて事なきを得たのだ。 「やはり…十年も立てば“人形”でも力を付けるのね……」 そう一言呟くと魔力を高めフォトンランサーを撃ち出す、すると今度は上空に逃げ込みハーケンスラッシュをプレシアに向け撃ち出すが、 プレシアはサンダースマッシャーで迎撃すると今度は左手に環状魔法陣が展開され、 加速増幅されたサンダースマッシャー、プラズマスマッシャーを撃ち抜く。 プレシアのプラズマスマッシャーをソニックムーブで回避したフェイトは左手をかざし カートリッジを消費しトライデントスマッシャーを撃ち抜くが、ディフェンサーを展開され攻撃を防がれてしまう。 そしてフェイトの一撃により辺りは魔力の残滓が舞いプレシアの姿を隠していると、 床から突き抜けるように金色の魔力鞭がフェイト目掛けて伸び迫ってきており、それに気が付いたフェイトは縦横無尽に逃げ惑うが、 魔力鞭は徐々に距離を詰めバルディッシュの魔力刃に纏わりつくと一気に引き寄せられ、四方あらゆる場所に叩きつけられるフェイト、 このままでは危険だと感じたフェイトはハーケンモードからライオットブレードに切り替え、魔力鞭を切り裂き難を逃れる。 その様子を見たプレシアはこのままでは少しキツいと感じ魔力を更に高めると服装が変化し始める。 プレシアが着ていた黒いローブは黒いハイレグカットされた軽装に変わり足元は高いヒール、 両手には黒い皮の手袋が付けられており、長い髪はポニーテールとして纏められていた。 その姿はかつて管理局時代に活躍していた姿で、フェイトのソニックフォームを彷彿としていた。 「この大魔導師、プレシア・テスタロッサの実力を見るがいい」 そう呟くとソニックムーブにてフェイトの目の前まで近づき膝蹴りを腹部に打ち込み、くの字に曲げるとライトニングエッジを剣に変え一気に振り下ろす、 だがフェイトはブリッツアクションにて全身のスピードを高め、なんとかして攻撃を防ぐ。 しかしプレシアはライトニングエッジを鞭に変えると一瞬にしてフェイトを縛り上げ更に電撃を与えた。 「う…うぁぁぁああああああ!!!」 「そう言えば十年前も、こんな事したわね…懐かしいわ」 そう言って感傷に浸りながらフェイトにバインドを掛け魔力鞭の縛を解くと、何度も何度もフェイトの身を打つ。 フェイトの身に打ち込まれる度に声を上げ苦しむ姿を堪能したプレシアは上空へと移動すると 左手をかざし徐々に魔力が集い圧縮されていくと閃光のように輝き始めていた。 「墜ちなさい!フォトンバースト!!」 撃ち出されたフォトンバーストは真っ直ぐフェイトの元へ向かい飲み込むと一気に爆発、 辺りは閃光によってまばゆく光り、プレシアはその光景をじっと見つめるのであった。 場所は変わり、なのはは桜色に輝く空間へと転送され先に続く緩やかな下り階段を下りていた。 その中でなのははフェイトとの約束を思い返していた、それはブラスターシステムの使用を禁ずるものである。 なのはの体は万全とは言い難く魔力に至っては未だ回復の兆しを見せてはいない、その為の処置であった。 しかしこの先の試練でブラスターシステム無しで立ち向かえられるのかどうか不安もあった。 …もし現状の能力で不可能であれば、使わざるを終えんだろう…そう考えている内に広場にたどり着くなのは。 広場の中心には一人の男性が佇んでおり、年は自分と同じぐらいだろうという印象を受けていた。 そして男はなのはの存在に気が付き振り向くと、その瞳は鋭くなのはを見つめており、その目線に懐かしさを覚えていると男の口が動き出す。 「次の相手はお前か…」 「アナタは一体?」 「私か?私の名は不破士郎、御神流の後継者だ」 士郎の言葉に目を見開くなのは、御神流と言えば兄や姉が父に習っている剣術である。 するとなのはは士郎の目をじっくりと見る、そしてどうりで見覚えがあるハズだと感じていた。 何故ならあの目は道場で兄達に稽古をつけている時の父と同じ目であるからだ。 では今目の前にいるのは若かりし頃の父、士郎なのではないのか…なのはは動揺を隠せないでいた。 …だが実は彼は、なのはの知る士郎ではなく、“同一人物”で“別人”の士郎なのである。 彼はなのはの出身世界である地球の平行世界から来た人物で 一人で修行している中に神に誘われ、此処で鍛錬をしていたところになのはが姿を現したのである。 話は戻り、未だ動揺を隠せないでいるなのはを後目に、士郎は更に話を続ける。 「此処に来て様々な奴と戦ってきたが、女…しかも人間の女を相手にするとはな」 士郎は此処に来てから様々な相手をしてきた、頭が三つもある猛獣、蛇が髪の毛のように生えた巨大な目玉、金属で出来た巨人など その中で次の対戦相手が女である事に疑問を感じるも、もしかしたらかなりの実力者なのかもしれないとも考える士郎。 「では…そろそろ始めるか……」 そう言って腰に抱えている小太刀を引き抜き構えると、なのはもまたレイジングハートを起動させて構える。 そして対極に対峙する中で、なのはが最初に動き出しアクセルシューターで士郎を牽制しようとする、 だが士郎は手に持っている小太刀を振るい次々とアクセルシューターを切り裂き、更になのはに迫り右の小太刀を振り払う。 しかしなのははラウンドシールドで士郎の攻撃を防ぐと流石の士郎も驚く表情を見せる。 「ほぅ…そんな能力も持っているとはな」 そう言って不敵な笑みを浮かべると右手に力を込め一気に振り抜くとラウンドシールドが真っ二つに切り裂かれる。 その光景になのはは目を丸くする、何故ならば自分の防御魔法の中で最も強固なラウンドシールドがいとも簡単に切り裂かれたからである。 なのはの驚きを後目にに士郎は左の小太刀を振り下ろそうとした瞬間、なのははとっさに後方へと飛ぶが士郎もまたついて回り 士郎の斬撃をプロテクションにて防御していると、士郎が左に力を込めるのを察し、 左の一撃に合わせて士郎の右後方へと移動、すぐさま振り向きカートリッジを消費させディバインシューター六発を士郎に纏めて撃ち込む。 しかし士郎は迫ってくるディバインシューターに対し右の小太刀を逆手に持ち替え左回転にてディバインシューターを弾き飛ばす。 なのはは士郎の動きに驚く一方で士郎がなのはの下へ真っ直ぐ向かってくるのを見て、 地上戦では此方が不利と感じ士郎の左の突きをギリギリで回避し上空へと逃げ込むと、 更にレイジングハートをエクシードモードに替えカートリッジを消費、ディバインバスターを撃つ体勢に入る。 「なるほど、考えたな…だが、対空用が無いとは言ってないぞ」 そう言うと持っていた小太刀を仕舞い懐から一本の棒手裏剣、飛針を取り出すとなのは目掛け投げつける。 一方なのはは既に魔力チャージを始めており一歩も動けない状況の中、飛針はなのはの肩を掠める程度に終わり悔しがる表情を垣間見せる士郎。 「ちっ…距離を見誤ったか」 そう言うと懐から六本の飛針を取り出すと、なのはの急所目掛け投げつける。 六本の飛針がなのはに迫る中、ディバインバスターのチャージが終わりすぐさま撃ち出すと、ディバインバスターは飛針を飲み込み士郎に迫る。 その勢いに驚きの表情を見せる士郎を後目にディバインバスターは床に突き刺さり爆発、辺りには魔力の残滓が煙のように舞うと、 その光景を上空から見つめるなのは、すると煙の中から切り裂くような勢いで四本の飛針が飛び出す。 それをラウンドシールドにて弾いた瞬間、足に違和感を感じ見てみると、足には鋼糸がまとわりついていた。 そして煙が晴れていくと其処には不敵な笑みを浮かべ鋼糸を握る士郎の姿がいた。 「捕まえたぜ!そらぁ降りて来い!!」 そう言って士郎は鋼糸を床に激突するように引き、なのはは背中から床へと激突、なのはの身には悶え苦しむ程の衝撃を受けていた。 しかし士郎の行動は終わらず、自分の元へなのはを引き寄せると鋼糸を手放し左手で顎を掴み、そして右手で小太刀を引き抜く。 「これで終わりだ」 そう一言口にするとなのはの心臓目掛け突き刺す体勢をとる士郎であった。 場所は変わり上空でフェイトの様子を見つめるプレシア、するとフェイトのいた場所から金色の魔力が現れ、中心には身なりが軽くなったフェイトの姿があり、 その手には二本の剣が握られており、柄の端は魔力の糸で結ばれていた。 これがフェイトの切り札、真・ソニックフォームとライオットザンバー・スティンガーである。 真・ソニックフォームは防御を一切無視し速度を重視した超高速特化形態で、 スティンガーはライオットブレードの二刀流の事を指し、柄が繋がれている事で安定した切れ味を実現したものである。 「チッ!…さっさと倒れればいいのに!」 「私は負けない!私にはその理由があるから!!」 自分には自分を待つ人がいる、自分は戻らなければならない場所がある、だから此処で倒れるわけには行かない! そう力強く言葉にするフェイトを苛つきの目で見つめるプレシア、 そしてフェイトはカートリッジを消費すると瞬間移動ともとれるような速度でプレシアの懐には入り右の魔力刃を振り下ろす。 しかしプレシアはブリッツアクションにて右手の動きを速めフェイトの一撃を止めると魔力刃を縛り上げる。 だがフェイトは左の魔力刃にて魔力鞭を切り落とし更にプレシア目掛け振り下ろすが プレシアはソニックムーブにて後方へと回避、フェイトの刃はプレシアの前髪を掠める程度に終わった。 するとプレシアは左手をかざしプラズマスマッシャーを撃ち出すが、フェイトはソニックムーブにて難なく避け背後を捉えると両手を振り上げる体勢をとる。 しかしプレシアは既にフェイトの動きを予測しており、振りかざした瞬間を狙って二本纏めて魔力刃を縛り上げた。 「二刀流とは考えたわね、でもこうやって二本ごと縛り上げれば意味ないんじゃない」 「まだまだぁ!!」 そう言うとスティンガーの鍔を合わせ一本の巨大な大剣へと姿形を変える、 ライオットザンバー・カラミティ、二刀のライオットブレードを合わせる事で生まれる破壊力重視の大剣形態である。 そしてカラミティの巨大な刃に耐えきれず魔力鞭の呪縛が断ち切られるとそのまま振り下ろし、プレシアは弾丸のような速度にて床に激突する。 プレシアが激突した辺りは舞い上がった塵に覆われており、上空からその光景を見つめていると 魔力によって塵を吹き飛ばしフェイトを見上げるプレシアが姿を現した。 「おのれ!このクソガキがぁ!!」 プレシアの表情は怒りによって歪み殺気を籠もった瞳で睨み付けるが、フェイトは冷静にカラミティからスティンガーに切り替える。 するとプレシアはソニックムーブを起動させフェイトの懐に入り、一気に振り抜くが紙一重にて攻撃を回避、だがプレシアはソニックムーブにてフェイトの後を追いかけると フェイトは一度立ち止まりソニックムーブにて急転、プレシアに迫り右の払いを繰り出すとプレシアはディフェンサーにて攻撃を防ぐ。 その時である、防御により動きを止めたプレシアの隙をつき左のライオットブレードを繋げカラミティにしプレシアの障壁を砕くとスティンガーに戻す。 そしてカートリッジを三発消費し更にブリッツアクションを用いて体全体の速度を高め次々と斬撃を繰り出す。 その斬撃はまるで無限の剣閃と呼べる程でプレシアの体に続々と金色の軌道が描かれフェイトは振り上げた瞬間カラミティに替えプレシアの顔目掛け一気に振り下ろす。 「はぁぁぁああああああ!!!」 フェイトのカラミティを受け止めたプレシアの顔が徐々に歪む中、フェイトはプレシアを連れ一気に急降下、そしてプレシアごと床に叩きつけると床は大きく円形にへこんだ。 そのへこみの中心でプレシアは信じられないといった表情でフェイトを見上げていた。 「…バカな!この…私が……負ける…ハズが……」 しかしプレシアの目に写るのは凛とした姿で佇むフェイトの姿で、その姿に思わず口元が緩むと意識を無くし倒れるプレシア。 その光景を最後まで見届けたフェイトは、まるで糸が切れたかのように膝を突き頭の中が真っ白になりながら倒れ込むフェイトであった。 一方でなのはの心臓に士郎の凶刃が迫りバリアジャケットにふれた瞬間バリアジャケットが爆発、士郎の攻撃を相殺した。 リアクターパージと呼ばれる防御機能で対象において限界と思えるダメージが起きた場合、バリアジャケット自らが爆発しダメージを相殺するのである。 リアクターパージはなのはにとって最終的な防御手段、それを発動させる程の一撃を士郎は繰り出していたのだ。 それもそのハズ、士郎は徹と呼ばれるドラム缶を一刀両断できる技を繰り出していたからである。 士郎は自分の一撃を爆発によって相殺された事に驚きの顔を見せると、その隙をついてなのはは即座にショートバスターを撃ち抜く。 すると士郎は左の小太刀を抜き手前で交差させてショートバスターを受け止めるが見る見ると押されていき、50m程放されるとショートバスターを四散させる。 「ここまでやるとは驚きだ!…仕方がない“本気”を出すか」 士郎のふとした言葉に目を見開くなのは、士郎にとって今までの攻撃は本気を出してはいないというのだ。 そんなバカな…ただの強がりだ…そう自分に言い聞かせレイジングハートの先端に魔力刃を形成し鋼糸を断ち切ると、 士郎は小太刀を仕舞い、瞳から光が消えまるで人形を思わせるような瞳に変わり全身からなのはに向け殺気を放ち始める。 士郎の殺気になのはの全身は粟立ち頬からは冷たい汗が垂れ、左手が震え始める、 …飲まれるな!!そう自分を奮い立たせていると真正面にいた士郎が消え目の前に姿を現す。 そして士郎はなのはの左手を掴むと、なのはは回転しながら宙を浮き背中から床に叩きつけられる。 なのはは背中から来る衝撃と痛みに苦しみながら士郎を見上げると、士郎は右足でなのはの顔を踏みつける体勢をとっており、 とっさに右に転がり士郎の踏みつけを躱すとアクセルシューターを撃ち出す体勢に入る。 しかしその瞬間を狙って士郎は左掌底をなのはの胸元に突きつける、するとなのはの体の中に猛烈な衝撃が響き、 その衝撃によって傷つけられた内臓の出血により口から血を吐き出す。 すると今度は左拳を握り顎をカチ上げ脳を揺らすと、がら空きになった腹部目掛け右の掌底を打ち込み吹き飛ばす士郎。 御神流は何も剣術だけが取り柄ではない、表面を傷つけず内部のみを破壊する当て身や受け身がとれない投げ技なども存在し、 先ほど使用した飛針や鋼糸などもまた御神流の技の一つなのである。 一方、腹部に強烈な打撃を受けたなのはは士郎の強さを実感していた、御神流は力よりも速度を用いた武術、 その速度はエクシードを使用したなのはの瞳にすら映らぬ程の速度であった。 …今のままでは確実に殺される、しかし自分はこのまま殺される訳には行かない 自分には助けたい者がいる守りたい者がいる、自分の帰りを待っている人がいる。 だからこそここで負けるわけには行かない!するとなのははレイジングハートに命じる。 「レイジングハート…ブラスターシステム起動!ブラスター2!!」 しかしレイジングハートはなのはに注意を促す、今のなのはの肉体でブラスターシステムを起動させれば 二度と魔法が使えなくなる可能性があり下手をすれば死んでしまうと。 しかしなのははこう答える、今此処で負けれる事は死を意味する、今更自分の肉体に気を使った所で奴に勝つ事は出来ない。 たとえ自分の肉体に不幸な事故が起きたとしても、此処で自分が勝てば仲間達が先に進むことが出来る。 それに自分は死ぬつもりはない、そう笑みを浮かべ話すとレイジングハートは屈伏した様子でブラスターシステムを起動する。 なのはの身に大量の魔力に満ちるとA.C.Sドライバーを起動させレイジングハートに魔力羽が展開される。 そして魔力によって反応速度、胴体視力、加速を高め士郎の動きを見極めようとしていた。 結果は士郎の動き全てを見る事は出来なかったが、出だしの一歩を見極める事に成功、A.C.Sドライバーにてかろうじて回避する。 しかし負けじと士郎も追いかけるが、瞬間的に移動・回避しイタチごっこが続いていく。 「逃げてばかりでは勝てん―――」 イタチごっこに飽き飽きして言葉を発した次の瞬間、正面で構えるなのはとは別方向、 士郎を中心に右上後ろから桜色の直射砲が降り注ぐのに気がつき転がるように回避 攻撃された方向を見つめると其処には金色のブラスタービットが宙に浮いていた。 「チッ!小賢しい!!」 そう言って懐から飛針を三本取り出して投げ、ブラスタービットを破壊する。 これで安心と考えた矢先、今度は後ろから桜色の直射砲が撃ち抜かれ、小太刀にて受け止め切り払う。 そして鋼糸にて縛り上げるとブラスタービットは一瞬にしてバラバラとなった。 すると他のビットによって右腕をバインドで縛り上げられ左の小太刀にてバインドを断ち切ろうとした瞬間、なのはのディバインバスターが士郎に迫ってくる。 「チッ!…仕方がないな」 士郎はバインドを断ち切った瞬間、一瞬にして移動なのはのディバインバスターを回避、更に飛針にてビットを破壊した。 その動きを一通り見たなのはは、恐らく性質としてはソニックムーブと同じだが、速度は遥かに越えていると判断していた。 「チッ…いくつこれはあるんだ!」 「そんなの答える訳ないじゃないですか!」 なのはのもっともな意見に不敵な笑みを浮かべる士郎、 実際問題として、ここまでやれるとは想っても見なかったのだ。 しかしこのままジリ貧が続くのは戴けない、この状況を打破するには“アレ”を使うしかないと悟ると 小太刀を仕舞い前傾姿勢で構える士郎、その構えを見たなのはもまたレイジングハートを士郎に向け構えていた。 「これで終わりにする…」 そう一言呟くように口にすると辺りは静寂に包まれ重苦しい空気が二人の肩にのしかかる。 そしてなのはは士郎の動きを見逃さんとジッと見つめていると、一瞬にして士郎が姿をかき消える。 なのはは驚きともにどこに行ったのか?と脳が考え始める瞬間に後方でキンッと小太刀を仕舞う音が聞こえ、 その音が耳から消え去った瞬間、なのはの胸元は大きくバツ印で刻まれ、傷口から血が噴き出し膝をついて前のめりで倒れた。 神速…御神流の中で奥義と称される歩法で自らの意志で認識速度を高め、常人を越える判断能力・攻撃・速度の可能としている。 しかし本人の肉体にも多大な負担を抱える為多用は出来ないが、その分一撃必殺ともいえる攻撃力を秘めているのである。 士郎の一撃はなのはに致命傷を与え、もはや立ち上がれないと確信に似た表情で士郎は振り向くと 其処にはレイジングハートを支え棒代わりに立ち上がろうとするなのはの姿があり、 思わず目を見開き驚きの表情を見せるがすぐに冷静な顔になり、なのはの行動に疑問する士郎。 「何故立ち上がろうとする?」 「……私には…負け…られない……理由…が…あるから」 自分には命を賭しても守りたい者がいる、自分を大切にしてくれる人がいる、大切な者を救う為に此処に来た。 だから此処で倒れている訳には行かない、たとえ気絶するような痛みでも、致命傷を受けたとしても、立ち上がらなければならない。 そう言って立ち上がり胸を張ると振り返り士郎を瞳を睨みつける、その瞳はとても半死人に見えず強い決意が滲み出していた。 そしてその瞳見た士郎は、なのはの中に母の強さを感じふと目を閉じる、其処には1歳とも見える小さな男の子が写り出す。 自分もまた、命を賭してまで守りたい者がいる、すると士郎の顔が暗殺者としての顔から父親の顔へと変化し、なのはに向け神速の構えに入ると なのはもまたレイジングハートを向けA.C.Sドライバーの体勢に入るとブラスター3を起動させる。 それによって得た魔力を先ほど受けた致命傷部分に注ぎ覆う事で応急処置的に傷を塞ぎ、残りの魔力は反射神経・動体視力・加速のみに集中させた。 そして互いの間の空気が緊張に満ちていくと、士郎がその想い空気の中、口を開く。 「…何か言い残すことは?」 「無い…」 自分は負けるつもりは無い、だからこそ言い残す言葉など無いと力強く答えるなのは。 なのはの言葉に決意を見た士郎は、なのはの強さに感服するも全力で相手をすることを決めていた。 「行くぞ!我が奥義によって散れ!!」 「私は負けない!全力全開で立ち向かう!!」 そう言ってカートリッジを全て消費すると先にかき消える士郎、そして間髪入れずになのはもまたかき消えるように姿を消した。 そして互いが対峙していた中心にて周りの柵が揺れ床にヒビが入る程の強烈な衝撃が響く。 そして衝撃波の発生元では小太刀を交差させた士郎と魔力刃にて小太刀を受け止めるなのはの姿があった。 互いの一撃は強力で小太刀の交差した中心部分に亀裂が走り始めるが、レイジングハートは全体的に亀裂が走っており、砕けるのも時間の問題である。 「このまま砕け散れ!!」 「砕けはしない!レイジングハートは!私の心は!!」 そう言うと小太刀のヒビが徐々に広がりを見せ、とうとう小太刀を打ち砕くと 空になったカートリッジを抜き出し新しいカートリッジに入れ替え装填、レイジングハートに環状の魔法陣が展開され先端では魔力が増幅していった。 「不屈の心だからぁぁぁ!!!」 そしてなのはの決死のディバインバスターが撃ち出されると桜色の魔力は士郎を飲み込み、 なのはもまた自身が撃ち抜いた魔力の光に包まれるのであった。 場所は変わり一人倒れていたフェイトが気が付き起きあがると其処は白い空間が広がっていた。 その時である、先程まであれだけの激戦を繰り出していたハズなのに自分の身がとても軽いことに気が付き首を傾げていると、 目の前に一つの魔法陣が姿を現し中から黒いローブ姿のプレシアが現れ、警戒の眼差しで見つめていると、肩をすくめるプレシア。 「安心して…もうアンタに手を出さないから」 フェイトがここに呼ばれた理由はプレシアに勝った為、だから自分はこれ以上手を出すことは出来ないと。 神はフェイトの奥に潜む母への想い、そして憧れそしてフェイトの中にある母性の力が母より越えているのかという物であった。 結果、プレシアの想いよりフェイトの想いが強く母の陰を乗り越えたという事と判断したのだという。 「これで私の願いも終わりなのね…忌々しい……」 そう言いながら顔が緩んでいるように見えたがすぐにフェイトに背を向けるプレシア。 フェイトは哀しくも変わらないプレシアの態度に苦笑いを浮かべると転送され始める。 すると背を向けたままのプレシアから言葉が聞こえる。 「……じゃあね“フェイト”」 「えっ!?母さ―――」 最後の一言に驚いた表情を見せながらフェイトは転送される。 そして一人残されたプレシア、神によるアルハザードへの道は閉ざされた… アルハザードへの道は自分で切り開くしかないか…そう諦めた様子を見せていると、プレシアの目の前に一人の金髪の少女が姿を現す。 「……お母さん?」 「アリシア!?」 その少女はアリシア本人であった、プレシアは目の前の愛娘に思わず抱きしめ、どうして此処にいるのか訪ねると、笑みを浮かべながら話し始める。 …今まで自分はとても長い夢を見ていた、その夢の中では母が一生懸命私を構ってくれていた。 ある日、母がいなくなり一人寂しくしていると、自分そっくりの少女と出会う。 少女は自分の“妹”だと名乗りそれから毎日“妹”と仲睦まじい生活を送っていた。 するとある日、“妹”がこう言った「そろそろ自分は行かないと」アリシアは一人にしないで欲しいと叫ぶと “妹”は…もう一人じゃないから大丈夫だよ…と優しい笑みを浮かべ光の中に吸い込まれていき、自分は追いかけていたら此処に立っていたと話す。 「変な夢だった…私には“妹”なんていないのに……」 「………そうでもないかもよ?」 プレシアは一言を発し天を仰ぎ目をつぶると…神も粋な計らいをしてくれるものだ…と、 そう心の中で呟いていると母の行動に首を傾げ疑問の表情を見せるアリシア。 するとそれに気が付いたプレシアは満面の笑みを浮かべ、アリシアの手を取り光の中を歩み始めるのであった。 一方で光に包まれたなのはは一人立ち尽くしていた。 そして今まで受けていた傷全てが完治しており、当初から存在していた体の不調、魔力の低下も見られず、 寧ろ絶好調とも言えるコンディションであった。 一体自分の身に何が起きたのだろう?そう疑問に満ちた表情を見せていると目の前に士郎が姿を表す。 「落ち着け、もう戦いは終わりだ…お前の勝利によってな」 士郎の言葉に一瞬唖然とするが徐々に喜びに満ちた表情を見せるなのは。 するとその表情を見た士郎は頭を掻きながら完敗を宣言する。 正直、自分と此処まで戦えて更に自分が負けるとは思ってはいなかった。 その強さは恐らく守る者の力の差なのだろうと、肩をすくめ首を振る士郎。 「出来る事ならお前の名前を教えて欲しい…私に勝ったお前の名を」 「私の名前は……“なのは”です」 「“なのは”か……良い名前だ、覚えておくぞ…」 そう言うと時間切れなのか徐々になのはの体は転送されていき、その場を最後まで見守る士郎。 そしてなのはが完全に転送されたのを確認すると歩み始め、その道中で考え事をしていた。 …もし、自分に娘が出来たとしたら、その子に“なのは”と名付けよう… ……不屈の心を宿すその名を…… 場所は変わり此処は海鳴市に存在する翠屋、時間は既に深夜を回っており、住民も寝息を立てている中 住人の一人である一人の男がふと目を覚ましベッドから起きあがる、すると隣で寝ていた妻である桃子が気付きふと声をかける。 「どうしたの?アナタ」 「いや…何でもない、少し夜風に当たってくる」 そう言うと男は妻を寝かしつけ部屋を出ていき、玄関へと赴く。 外は静寂に包まれ空は満天の星空に覆われており、ふと男は空を見上げると呟くように言葉を口にする。 「頑張れよ……なのは…」 …何故自分はそのような事を口にしたのかは分からない、ただ何故かそう思う父“士郎”であった。 前へ 目次へ 次へ オマケへ
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高層建築の立ち並ぶ都市の一角。 夜の闇と、静かに降る雨に包まれながら一つの人影が歩いていた。 整った顔立ちだが、不思議と印象に残らない容貌の男。落ち着いた風格がある一方で 全てに興味が無い無関心さを連想させる。 男は無言で状況を確認するように周囲を見渡す。 突然男の一歩後ろ、一瞬前まで誰もいなかったはずの空間に二つの影が現れた。 否、実際にそこには誰もいない。二つの影は男にしか見えない『悪魔』だ。 「さて、僕らは何故こんなところにいるんだろうね? さっきは『魔法』なんてものも見たし、どう考えても 僕らの知る世界ではない。」 右の影―――どこか楽しげな笑顔を浮かべた半月眼鏡の青年。そんな皮を被った悪魔に もう一つの影―――彫りの深い怜悧な顔立ちに長い銀髪、ワインレッドのスーツという 眼鏡の悪魔に比べ随分派手な悪魔が似合わない訛りで応える。 「そんなん俺に分かるわけ無いやろが。そうゆうん考えるんはお前の仕事やろ、ひょうたん眼鏡」 「別に答えを期待したわけじゃない。ただ、お前なりの見解を聞きたかっただけさ。 ……そういえば『ひょうたん眼鏡』なんてあだ名をつけたのはお前だそうじゃないか、ベリアル。 別に間違ってはいないと思うが、お前のおかげで海野君にまでそんな名前で呼ばれてしまった。 どうしてくれるんだおちゃらけ蛇。 まったく、何で僕はまともなあだ名がつけられないんだ。 『指導者』はまだ良かった、地味だが的確に僕の役割を表していた。 それでも自分のライバルになり得ると目していた相手に妙なあだ名で呼ばれてしまう上に 久美子君には『ベルぱー』なんて呼ばれてしまう始末だ。 信じられるか? 『ベルぱー』だぞ、『ベルぱー』! 確かにそれは僕が指定した『ベルゼブブ・パターン』の略称だろう。 だが、その呼び方はどうなんだ、セルネットの創始者を呼ぶには些かどころではなく 迫力や風格が削がれてしまうじゃないか!!」 どうやら話が長くなる傾向があるらしい眼鏡の悪魔はひとしきり不平を言うと気を取り直し続けた。 「―――話が逸れたな。実のところ僕は僕たちがどこにいるのかという問題に対し一つの仮説がある」 「なんや? その、仮説いうんは」 「何というか……かなり馬鹿馬鹿しいんだが、『ここ』は『異世界』とか『異次元』とか言うヤツじゃないかと思って る」 「……はぁ?」 眼鏡の悪魔がいきなり突拍子も無い事を言うのには慣れていた銀髪の悪魔も、それしか反応できなかった。 眼鏡の悪魔もその反応に頷きながら説明する。 「その反応は予想できたさ。自分でも相当に馬鹿な事と思っているぐらいだからね。 だが、それ以外では僕には説明ができない。 『王国』?それはあり得ない。 我らが陛下は眠りについた筈だし、物部君の心象にこんな大都市があるわけがない。 ではカプセル以外の何らかの要因による幻覚? 肉体があるバールはともかく、僕やベリアルに影響があるなんて考えられない。 そして先ほど目にした『魔法』。どう見ても、僕らが知るオカルト的な魔術では無かったし この通りを歩いていて目に入る看板や標識の文字。少なくとも僕の知識にはあんな文字は無い。 もっとも『ここ』でそれなりの時間を過ごしていれば、いずれ分かる事だけどね。 それ以上に気になるのは『それ』だ」 眼鏡の悪魔が指を向けたのは、それまで二人の悪魔の会話に反応すらしなかった前を行く男のポケット。 正確には、その中に有るものだ。 「陛下が眠りについた物以外は一つ残らず消えたはずの『カプセル』が、何故そこにあるんだろうね。 僕にも説明がつかない。 それで、どうするんだいバール 地獄の底で待っていろなんて言っていたけど、こんな所にいるんじゃね」 それに、初めて男―――バールが反応した。 「是非もない。知らない場所だからと迷う必要は無いだろう。 葛根市では退くことになったが、『ここ』で二度目を行なえばいい」 「……聴いたか、ベリアル。このミスター・ハードボイルドは こんなわけの分からないところで続けるつもりのようだ。本当にマスターオブオカルトの名は彼に譲るしかないな」 「いやそれはいらんちゃうんかなぁ、少なくとも俺はいらん。 ま、ええんちゃう? 陛下がおらんで何ができるかわからんけどな」 見知らぬ場所に突然迷い込んだというのに全く意に介さない男の言葉に 二人の悪魔は呆れたように嘆息しながらも反対する様子は無く、むしろ楽しそうにおどけた敬礼を返した。 そして男は、ゆっくりとその姿をかき消していく悪魔たちと声を揃える。 「「「エロイムエッサイム」」」 リリカル・クラッカーズ 『ミッドチルダにカプセルが蔓延し始めたようです』 「本当にすいませんフェイトさん、わざわざ送らせてしまって。なのはさんは元気でしたか?」 黒いスポーツカーの助手席に座るティアナは運転しているフェイトに頭を下げた。 「うん、相変わらず元気だったよ。……完全に親バカの顔でヴィヴィオの写真 大量に見せられて少し困ったけど。スバルはどうだった?」 多忙な執務官の少ない休暇を利用して二人は、それぞれの親友を訪ねていたのだ。 「スバルも変わらないですよ、ギンガさんも。 ただ、ゲンヤさんが最近かなり忙しくて自分たちも休みを取りづらいって言ってましたけど」 「レジアス中将の穴を埋めるのに苦労してるんだね……」 そう、現在管理局は『陸』と呼ばれる地上本部、『海』と呼ばれる本局の双方が混乱した状態にあった。 JS事件で殺害されたレジアス・ゲイズ中将―――長年地上本部で辣腕を振るった英雄を失ったことが原因である。 JS事件直後こそジェイル・スカリエッティとの繋がりや、違法行為スレスレの手段をとってきた事で批判が集中していたが 調査が進むにつれ中将にそういった手段をとらせてしまった地上本部の窮状が表沙汰になる。 少ない予算、貧弱な装備、本局に引き抜かれていく人材。 そういった状況を作り出す事になった本局に対する批判が湧き上がった。 さらに、強烈なリーダーシップをとる―――悪く言ってしまえばワンマンだった中将の指示が無くなった事で業務が停滞。 それを解決するために『一時的に』本局が『支援』する動きが持ち上がるが、逆にそれまでの本局の地上本部への所業を知る『陸』の局員 特に経験豊かな中堅世代が一斉に辞職。混乱を助長することになってしまう。 『海』でも、かつての『陸』の局員だった者が『陸』に大量に復帰しようとした事から事態は管理局全体に広がった。 そのため管理局は組織を再編、『陸』と『海』の関係の改善を図る。 その一環として『陸』に残った数少ないベテランの一人であるゲンヤ・ナカジマ三佐は、『海』との繋がりを持つことから 現場を指揮する立場から『陸』の上層部へ本人も望まない形での抜擢をされる事となった。 「ギンガさんが言ってたんですけど、最近ミッドでも犯罪が増えてるんですって。 本局の方も色々問題出てきてますし、早く何とかしないといけませんね……」 機動六課の一人としてJS事件には深く関係したティアナは、少し複雑な気分のようだ。 沈んだ様子のティアナを励ます意味を込めてからかい混じりにフェイトは返答するが 「そのためには私たちも頑張らないと。ティアにも早く一人前になってもらわなきゃね。 ――――――ッ!?」 自動車の進路上に、身を投げ出すように倒れこむ人影が目に入り慌ててブレーキを踏み込んだ。 周囲にゴムの擦れる独特の音を撒き散らし、スポーツカーは倒れる人影の直前で止まる。 車内の二人は、ドアから飛び出し人影に駆け寄った。 倒れていたのは中性的な顔立ちをした少年だ。華奢で小柄な体を丈の長いブルーのウィンドブレーカーで包んでいる。 「……あ、ず…ちゃ……」 意識の無い少年は、うわ言で何事かを呟いた。 フェイトが少年の体を起こすと、少年の首に下がったクロスのペンダント―――ちょっとした仕掛けで中にちいさな収納スペ-スがある物だ―――から小さな何かが零れ落ちた。 ティアナが拾い上げたそれは、 「カプセル剤?」 赤と白。二色に塗られたどこにでもあるカプセル錠だった。 「『カプセル』……ねぇ」 複数の陸士部隊から提出された麻薬事件の報告書。それらに添付された新手のドラッグの画像を眺め、ゲンヤ・ナカジマ『一佐』は唸った。 どうにも妙な事件だ。 最近の管理局内部の混乱で捜査の手が足らなくなり犯罪が増える以前から ドラッグに関係した案件も少なくは無かったが、こんなクスリが流行ったことは無かった。 幾人か売人を締め上げたが、どいつも組織的な背景の無い雑魚ばかりで どこから仕入れたかという話になると急に要領を得なくなる。 肝心の『カプセル』についても、押収したものを調べさせたが何かの化学物質かもしれない、と何も分からないと同義の結果だ。 『カプセル』のドラッグとしての効用も他のクスリと比べて、目新しいものではない。 そのくせ馬鹿な若い連中がやたらとハマっているそうだ。 そして、『カプセル』には奇妙な噂があるという。曰く「願いが叶う」と。 陸士部隊の指揮統括を行なう立場になった身としては一つの事件にばかり掛かりきりではいけない。 数は多いが事件としての規模も大したものではない。だが、ゲンヤは妙にそのドラッグのことが気になった。 「……やれやれ」 懇意にしている陸士部隊の隊長―――自分と同じ今では数少ないベテランだ―――に連絡する。 『カプセル』に関して優先的に捜査するようにという指示だ。このぐらいの勝手ならば問題は無いだろう。 ゲンヤは『カプセル』の報告書を処理済の書類の山の一番上に載せ、未処理の書類の山脈へ目を向ける。 「今日も泊まりかね。レジアス中将、あんたすげえよ」 今の自分を遥かに超えるであろう仕事を長年こなし続けた、あまり好きにはなれなかったかつての上司への偽らざる賞賛だった。 『廃棄都市区画』の片隅で鋲のついた皮のジャケットを着た精悍な青年が一人ごちる。 「何だって俺はいきなりこんなトコにいるんだ? ま、なかなか面白そうだがな。 っかし、『魔法』、『魔法』ねぇ」 青年―――葛根市のアンダーグラウンドで最強と謳われた男は、歯を剥き出しにした獰猛な笑みを浮かべる。 「そんなモンが本当に存在するとはな。お前が見たら何て言うのかね? なぁ、『ウィザード』」 目次へ